紅海で相次ぐ貨物船攻撃、人的被害も増大 海運業界が対策要請

フーシの攻撃を受けて沈没したギリシャ船籍の石炭運搬船「MVチューター」=12日/Etat-Major des Armées/France/AP

ロンドン(CNN) 紅海を航行中に攻撃されて沈没する貨物船が相次ぐ事態を受け、海運業界が「影響力を有する」各国に対し、イエメンの反政府武装組織「フーシ」による攻撃を阻止するよう、対応を要請した。

これまでの攻撃では乗員少なくとも3人が死亡。海運業界が19日に発表した声明によると、新たな攻撃でさらに1人が死亡したと思われる。声明は国際海運会議所やワールド・シッピング・カウンシルなど十数団体が共同で発表した。

海運の大動脈である紅海は昨年以来、実質的にコンテナ船が通行できなくなり、人的被害も拡大している。

海運業界の声明では「自分の仕事をしているだけの罪のない船員が攻撃されている」として遺憾を表明。「これは容認できない状況であり、そうした攻撃は今すぐ阻止しなければならない。我々はこの地域で影響力をもつ国家に対し、罪のない船員の安全を守るとともに、紅海における緊張状況の早期緩和を要請する」とした。

英海軍の英国海運貿易オペレーション(UKMTO)は19日、ギリシャ船籍の石炭運搬船「MVチューター」が先週、フーシの攻撃を受けて沈没したことを確認した。

海運業界の発表では、同船の乗員1人について「殺害されたのは間違いないようだ」と述べ、「我々の船員が地政学的な衝突に巻き込まれて死者が出た攻撃はこれが2度目だった」としている。

イランを後ろ盾とするフーシはパレスチナ自治区ガザに対するイスラエルの戦争への報復として、昨年11月以来、紅海を航行する船舶をミサイルやドローン(無人機)で攻撃している。フーシに拿捕(だほ)された貨物船と乗員は、今も人質として拘束されている。

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