猫が失敗したあとにする“謎のしぐさ” 「転位行動」について知りたい!

猫が失敗や我慢をしたあと、突然謎のしぐさをすることはありませんか? この謎のしぐさは、動物行動学の用語で「転位行動」と呼ばれています。今回は、そんな猫の転位行動について、愛玩動物看護師の小野寺温先生に解説していただきました。

猫の転位行動って?

引用元:ねこのきもち投稿写真ギャラリー

ジャンプや狩りに失敗したときのほか、驚いたときや我慢したときなどに見られる転位行動。

転位行動は失敗をごまかそうとしているのではなく、「自分のしたいことができなかった」という葛藤や動揺を、別の行動で紛らわせるために行うもので、哺乳類全般に見られる行動といわれています。

猫はどんな転位行動をするの?

猫に多く見られる転位行動としては、毛づくろいや爪とぎ、あくびなどが挙げられます。

転位行動1. 毛づくろい

引用元:ねこのきもち投稿写真ギャラリー

食後によく見られるしっかり時間をとった毛づくろいとは違い、失敗したあとなどにする毛づくろいは、急に少しだけ脇腹や後ろ足などをなめるのが特徴です。

転位行動2. 爪とぎ

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転位行動としてする爪とぎは雑で、急にスイッチが入ったように始めるでしょう。また、短時間で終わるのも特徴のひとつ。

転位行動3. あくび

引用元:ねこのきもち投稿写真ギャラリー

猫としてはまれですが、リラックスしている状態ではないのに急にあくびがでるときは、転位行動の場合も。

こんな行動も実は転位行動だった!

引用元:ねこのきもち投稿写真ギャラリー

猫が窓の外にいる鳥などを見て「カカカッ」と鳴くクラッキング。「捕まえたいのに捕まえられない」状況で鳴いているので、この行動も転位行動の一種と考えられています。

ちなみに、ある研究報告によると、複数の外猫が集まるなかで強い猫から圧迫されたときなどに、猫は転位行動として「寝たふり」をすることもあるのだとか。

転位行動は、一時的な葛藤や動揺(小さなストレス)を自分で緩和するための健全な行動なので、やめさせる必要はありません。ただし、持続的にストレスを感じていると、常同行動という心の病気に発展することもあるので要注意。猫のストレスが継続しないよう、お世話や環境づくりを工夫することが大切です。

お話を伺った先生/小野寺温先生(愛玩動物看護師 帝京科学大学講師)
参考/「ねこのきもち」2024年5月号『「転嫁行動」との違いも解説! 愛猫の失敗・我慢のあとの謎しぐさは転位行動かもしれません』
文/小泉美筆
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性がない場合もあります。

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