【解説】ロシアで“プーチンブランド”の店 国内生産にこだわり“旧ソ連”の国に出店数拡大も計画 オリジナルブランドがなぜ登場?

先日の北朝鮮、そして今回はベトナムと、友好国を訪れているプーチン大統領。
西側によるロシアへの経済制裁があまり効いていない中、新たな店が登場しているという。

このニュースについて、フジテレビ取材センター・立石修室長が解説する。

欧米やアメリカなどの店は次々とロシアから撤退をしたが、そこに居抜きで入るような形で、スターバックスに似せた「スターズコーヒー」やケンタッキーのKの字をRにした「ロスティクス」というフライドチキン屋など、コピー店というものが次々と現れてきた。

実は、ファッション業界ではロシアオリジナルの店も登場している。

店の名前は、リスペクトするプーチン氏のブランドの名前に冠した「プーチン・チーム・ロシア」という店で、この店をFNNモスクワ支局・土井若楠特派員が取材した。

モスクワのショッピングモールの中にある店には、パーカーやジャンパー、さらに帽子やかばんなど揃えられているが、全ての商品に“PTR(プーチン・チーム・ロシア)”のロゴが入っている。

白、青、赤のロシアの国旗をモチーフにした商品が人気だということだが、全てロシア国内で作られていて、「MADE IN RUSSIA」と書かれている。

社長は、「4年前にプーチン氏の前で発表し、このアイデアを提案しました」と話す。

実際、「ネクタイはプーチン氏が着用しているものだ」と店員は説明しており、プーチン氏本人からお墨付きをもらった“プーチン氏イチ押し”のブランドと言えそうだ。

この社長によると、中国など安い国で作るのではなく、あくまでもロシアでの国内生産にこだわっているという。国内の雇用を増やしていくという戦時経済下での政府の方針と一致もしている。

5月時点で、国内では40店舗あるとみられ、2026年はベラルーシなど旧ソ連も含めて100店舗を出店する計画だという。

EU(ヨーロッパ連合)でも、プーチン氏と距離の近いオルバン大統領のいるハンガリーなどに輸出を計画しているという。

――このブランドの人気はあるのか?

取材した土井特派員に聞いたところ、店が満員というわけではなく、客の数もそんなには多くないものの、物の品質は悪くなく、安い値段で買えるということで人気は呼んでいるという。

かつては欧米のブランドや日本のユニクロなどが人気があったが、今はないため、若者たちにとっては、こういうところで買うしかない状況になっているという。

店舗数も増えており、経営は順調のようだ。

――中国の進出など、その辺りも考えているのか?

街の様子を取材すると、中国製品があふれている状況だった。

冷蔵庫などは、すべて中国製のブランドのもの。そして、スマートフォンなどもかつては韓国製のものなどが多かったが、すっかり取って代わっており、テレビも中国のブランドになっている。

そして、顕著なのは自動車業界で、市内には「チェリー」という中国車のブランドがある。
ロシアには様々な中国車のディーラーがあり、ロシア人の客らが購入しに訪問しているという。

実際に2023年の新車販売台数のランキングを見てみると、1位はロシアのメーカーだが、2位から7位までが一目瞭然、中国車が占めているという状況。

かつては、ここに「ヒュンダイ」や「ホンダ」や「トヨタ」などが並んでいたが、すっかり様変わりしてしまった。

2023年の中国とロシアの貿易は過去最大で今、ロシア経済を支えている状況。

ただ今、制裁の中でロシア経済が好調なのは、巨額の軍事支出があくまでも国内の経済を刺激しているから。

しかし、「基本的には国債に支えられたもので、必要な部分には投資が回っていない。長期的には制裁の効果が出てくるのでは」とする西側の経済学者などの見方もあるという。

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