有害鳥獣駆除の猟犬がヤギかみ殺す 尾道市の民家の庭に侵入 狂犬病の予防接種受けておらず

猟犬にヤギが襲われた民家の庭

 広島県尾道市の捕獲指示で出動する有害鳥獣捕獲班の猟犬が同市瀬戸田町の民家の庭に入り、飼育されているヤギをかみ殺す事案が3月にあり、市は21日の市議会本会議で、再発防止に取り組む考えを示した。猟犬は狂犬病の予防接種を受けておらず、住民に捕獲作業の事前告知もなかったことから、対策を徹底する。

 市などによると、同町の高根島で3月31日、捕獲班4人が猟犬3匹を連れてイノシシの駆除に当たった。山中で放たれた猟犬はイノシシを探し出し、班員が猟銃で撃ちやすい場所に追い込むのが役目。しかし2匹が麓の民家の庭に侵入し、ヤギを襲ったという。ヤギは翌日に死んだ。

 猟犬が人をかむ恐れもあるため、各都道府県猟友会を統括する大日本猟友会(東京)は、有害鳥獣を捕獲する際は事前に地域住民へ連絡するよう促す。また、狂犬病予防法は飼い犬に年1回の予防接種を義務付けているが、今回はいずれもしていなかった。

 市議会一般質問でこの問題が取り上げられ、市は再発防止策を説明。市猟友会が猟犬を認定する際、狂犬病予防注射済票を確認して市と情報を共有する。猟銃を使う捕獲は住民の要望を受けて実施するのを基本とし、事前に防災ラジオや防災アプリで周知することなども示した。

 平谷祐宏市長は「猟犬がヤギを殺傷させたことは大変残念。行政の責任者として相手の方に謝罪の言葉を述べた」と答弁した。

© 株式会社中国新聞社