「大声でおしゃべりしないで!」何度注意しても同じことを繰り返す時の対処法とは!?【発達障害の専門家が教える 保育で役立つ気になる子のサポートBOOK】

何度注意されても同じことをする

やってはいけないことをしたとき、「今は騒いだらだめ」「そこで走らないで!」などと繰り返し注意しても、なかなかやめてくれません。

例えば、こんな状況

まだお昼寝している子がいる時間に、大声で話し始めたOくん。「大声でおしゃべりしないで!」と何度指摘しても、一向に静かにする気配がありません。

あなたならどうする?

1.大声がだめな理由をじっくり説明する

2.「ネズミさんの声でお話しして」と言い直す

【解説】おすすめは1!

時には理由を伝えることも大切ですが、大人を説得するかのように長々と話すのは得策でないかもしれません。特に、まだ言葉の力が育っていない子では理解が難しく、行動変容になかなかつながらないでしょう。どう行動すべきかを端的に、視覚情報や数字の力なども活用しながら説明することがポイントです。

考えられる背景

「おしゃべりしないで」ってどういうこと?

やってはいけない行動を伝えても、「だめなことの反対」をイメージする力が不足しているため、適切な行動が理解できないのかもしれません。

こんな声かけ&サポートをしてみよう!

「反対類推力」をサポートする言い回しに

「大声でおしゃべりしないで」と言われたとき「つまり、静かにすれば/小さな声に調整すればいいんだな」と考えられる力を「反対類推力」といいます。一般的には2歳以降に身に付いていきますが、まだこの力が育っていない子には配慮が必要。望ましい行動を明確に伝えることが、具体的な改善につながります。その動作をやって見せるなど、視覚的な情報も加えるとなおいいでしょう。

考えられる背景

「先生の言いなりになんてならないもん!」

自分の思い通りにしたいという気持ちが強く、理由を説明されても納得できないため、同じ行動を繰り返している可能性もあります。

こんな声かけ&サポートをしてみよう!

回数や時間など、数字を持ち出して約束を

ちょうど約束事ができるようになってきた頃(おおむね4歳以降)、一方的な指示や命令に耳を貸さなくなる子が出てきます。そうした場合は、「〇分になったら△△していいよ」「〇〇の後に△△するよ」「〇回やったらおしまい」といったようにルールを定めて、それに従うよう伝えるとスムーズになることがあります。回数や時間など、数を用いて約束することが特に有効です。

ほかにもたくさん!サポート声かけ例

  • 走らないで、歩くよ
  • 長い針が〇にきたらお片付けしよう
  • あと少しで終わりだよ
  • 後でできるように先生が取っておくね

【出典】『発達障害の専門家が教える 保育で役立つ気になる子のサポートBOOK』著:湯汲英史

【書籍情報】
『発達障害の専門家が教える 保育で役立つ気になる子のサポートBOOK』
著:湯汲英史

幼稚園や保育園で言葉や行動や少し「気になる子」はいませんか?落ち着きがない、ずっとボーっとしている、「わからない」が多く、会話が成り立たない、すぐウソをつく、他の子や保育者をベタベタ触る……など。そのような気になる行動や言葉を発する子どもたちのサポート法を多数の声かけ例とともに丁寧に解説。また、「気になる子」の周りの子どもたちにも焦点をあて、周りの子どもたちや親御さんへのフォローや対応策のほかにクラス全体が過ごしやすくなる環境づくりのアイデアを提案します。そのほか、園でのスムーズな連携の仕方や有効的な記録の取り方など、今すぐ実践したい保育で役立つ情報を豊富に収録。保育学生さんや新米保育士さんだけでなく、改めて「気になる子」のサポートについて考えたいベテラン保育士さんなど多くの方にぜひ手に取っていただきたい一冊です。

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