来日中のビリー・アイリッシュ、ファン・イベントで日本への愛を語る

現在来日中のビリー・アイリッシュが、ファン・イベントを行った。

今やスタジアム・クラスの会場でなければ会えないくらいの存在になっているビリーと、至近距離で触れられる(おそらく最初で最後の)貴重な機会ということもあり、会場の周辺にもたくさんの人々が詰めかけた。ビリーのコスチュームからインスパイアを受けたと思われる同世代を中心に、さまざまな世代のファンやリスナーが集結。着席するシートにはビリー直筆のサイン入りポスターをはじめとする豪華なプレゼントが用意されており、特別な空間となっていた。

カジュアルな雰囲気で登場したビリーは、「本日は集まってくれてありがとう。大好きなみなさんと会えてとてもうれしい」と挨拶。早速、最新アルバムについて「これは前回の来日公演をした頃から取りかかったもの。とても大変なこともあったけれど、気づいたら完成していたという感じ」と語った。結果、これまでの作品のなかで、もっとも正直なアルバムになったという。

「過去の作品もありのままの自分ではあるのだけれど、弱さをさらけだすことに抵抗があった。また、以前はみんながこれを聴いたら喜んでくれるのかな?みたいな期待に応えられるものを作ろうという気持ちが心のどこかにあったのだけれど、今回は自分が本当に描きたい音楽というものをとことん追求することができた気がする」

自身のコメントをスピーディーかつ丁寧に日本語で伝える通訳の方の仕事ぶりを、真剣にかつリスペクトをこめた視線で見つめるビリー。改めて、日本のカルチャーや人々を愛しているという思いが伝わってきた。そんなビリーに、今回の来日でやってみたいことを聞いてみると「残念ながら、楽しめる時間がないの」と苦笑い。「でも、車窓から東京の景色を見ているだけでも美しい気分になれるから、それでいい」と話した。多忙なスケジュールの合間に、1軒だけ足を運んだショップがあるそうだが、どの店か訊かれると「アハハ。それは内緒だよ」と明るくはぐらかした。

後半では、会場に足を運んだファンからの質問に答えたビリー。「日本でも最も印象的だった出来事は?」という質問には、「14歳の頃に初来日をして以降、大好きな国。18年に【SUMME SONICで初パフォーマンスをした時に感じた、みなさんの私の音楽に対する真剣な思いに、とても愛を感じたというか。感動した。また、今回の来日でもわざわざ空港にお出迎えしてくださったファンの方々の熱狂ぶりも忘れられない。これからの人生において大切な瞬間になることでしょう」

ゆえに、日本の人気アニメの世界観などからインスパイアを受けたという楽曲「CHIHIRO」は、アルバムのなかで特に大好きな楽曲だという。「自分がアニメの主人公になった視点で制作した楽曲。これまでも映画の主題歌やサウンドトラックを手がけたことがあるのだけれど、自分じゃない誰かを想像して音楽を作るのって大好き」と語った。

では「もし誰かになれるならば?」という質問をすると、答えに困った様子で、会場にいた母親に助けを求めるものの「結局自分は誰にもなりたくない」と結論。「だって、人それぞれにさまざまな問題がある。誰かになるってことは、それを抱え込まなくてはいけなくなるから。自分だけで精いっぱいなのに、これ以上はムリ(笑)」

予定していた時間を大幅に超えても、ひとつひとつの質問に対して、誠実に思慮深く応じたビリー。最後に日本のファンに向けて「ずっと応援してくれてありがとう。みなさんの思いはちゃんと私に届いている。また、お会いできることを楽しみにしています」とコメントし、ステージを去った。

その後、参加したファン全員と記念写真を撮影。最後には、何名かのファンと固くハグをするなど、貴重なファン・サービスをし「アイ・ラヴ・ユー」という言葉を残して、颯爽と会場を去っていった。イベント終了後、ビリーのフレンドリーで愛にあふれた神対応に、誰もが目を輝かせていた。

3日限定のポップ・アップ・ストアでは環境問題に積極的に取り組むビリーらしく、サステイナブルな素材で作られた、東京限定のTシャツや、これまでのビリーのアルバム(日本未発売のカセットテープ含む)などがラインナップされている。

◎開催情報
ビリー・アイリッシュ『HIT ME HARD AND SOFT』ポップアップストア
開催日程:2024年6月21日(金)~6月23日(日)
会場:東京・BA-TSU ART GALLERY

◎リリース情報
アルバム『ヒット・ミー・ハード・アンド・ソフト』
発売中
https://umj.lnk.to/BE_HMHAS

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