主人公を成長させるには?読者に共感と感動を与えるキャラ設定のポイント【テクニックでセンスを超える!プロが教えるマンガネーム】

物語のなかでキャラクターを成長させる

ストーリーのなかで試練と挫折を乗り越え、主人公が成長する姿に読者は感動し、 共感することができます。

主人公を『成長』させる

読者に共感されないキャラクターの例として、「成長しない主人公」、つまりストーリーにおいて、何の変化も見られない主人公があげられます。

主人公はストーリー展開のなかに試練と挫折が必ずあり、その障害や困難を乗り越えるために努力し、人は成長していくものです。読者はそうした主人公の姿に感動し、あるいは自分を投影して、共感します

主人公のキャラクター像を考えるとき、たとえばスポーツの試合や戦いのなかでライバルを倒す、意中の女の子をガールフレンドにするなど、何かの「目標」を持たせてストーリーのなかのゴールを設定する必要があります。ゴールを明確にすると、キャラクターの成長がよくわかるようになるのです。また、作者の目線ではその目標に対して、何が壁になりえるのか、どうやってその壁を乗り越えて目標に近づいていくかも考えやすくなり、道筋を立ててストーリーを描くことができるようになります

変化がなく、ストーリーに対しても常に受け身な主人公は読者からも共感されづらいもの。読者が応援したくなる、魅力ある主人公にするためには、ストーリーのなかでさまざまな考え方や物事を知り、ときに壁に阻まれながらも乗り越えて、目標へと向かう成長するキャラクターを設定するのがいい。

ストーリーが長期化した場合

もちろん目標は最初のうちは身近なものからはじまって、ストーリーの展開次第で、どんどんレベルアップしていくのがいいでしょう。主人公の目標が「誰よりも強いボクサーになる」というものであれば、最初はその国で一番強いボクサーを目指すところから、最後には、世界チャンピオンに挑むといった形で、目標は主人公の成長に合わせてスケールアップします。これにより、「主人公はこの目標を達成することができるのか?」という緊張感が生まれ、成長を見守ってきた読者は応援したくなるのです。

主人公がダラダラと日常生活を送るのではなく、努力で困難を乗り越え、それによって心情がどのように変わっていくのか、という変化が「内面の成長」であり、その様子に自分を投影した読者が、共感、感動するのです。

想定していたラスト以降にもストーリーを続けようと考えた場合、新たにストーリーの主軸となる2つ目の目標を設定する必要がある。その際の1つ目の目標の延長線上にある目標であると、主人公の人格やストーリーにブレが生じにくい。

新しい目標設定のコツ

・必ず目標を設定してからストーリーをつくる ・1つ目の目標よりも話のスケールを上げる。 ・主人公の目的や信念に関連させて設定する。

【出典】『テクニックでセンスを超える! プロが教えるマンガネーム』著:佐藤ヒロシ

【書籍情報】 『テクニックでセンスを超える!プロが教えるマンガネーム』 著:佐藤ヒロシ マンガを描く上で、アイデアやイメージを形にするのは難しく、面白さを伝えるためにはネームが必要です。ネームは、コマ割りや構図、キャラクターの配置などを具体的に示す設計図であり、作品の完成度を高めるために何度も修正を繰り返します。本書では、ネームの作り方と素晴らしい作品になるためのポイントを解説し、実際のネーム添削も紹介。ネームを描くことが、面白いマンガを作成する第一歩です。マンガネームの書き方に悩んでいる方にぜひ読んでいただきたいおすすめの一冊です。

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