ロシア大使館、広島県の核実験中止要請を受け取り拒否 「注目に値するものとは考えない」

在日ロシア大使館から広島県に届いた返書

 広島県が4月に核実験中止を求めてロシアのプーチン大統領宛てに送った要請文について、在日ロシア大使館が受け取りを拒んでいたことが21日、分かった。大使館は米国の「核の傘」に依存する日本政府の姿勢を批判し、県側の訴えを「注目に値するものとは考えない」としている。

 県によると、5月16日にニコライ・ノズドレフ駐日大使名の返書とともに要請文が送り返されたという。返書は県の要請内容を「プロパガンダ的な虚偽を広め、ロシアを核兵器の脅威とそれに対応するリスクを生み出す国家と見せかけようとする」ものだと指摘。米国の責任への言及がないなどとし、受領の拒否を伝えている。

 これに対し、湯崎英彦知事は今月21日、プーチン大統領宛ての書簡を大使館に発送。米国を含めて「どの国に対しても核実験の兆候や実施の事実が明らかになれば中止要請や抗議を実施している」と反論し、改めて実験中止を求めた。

 県はロシアに核実験準備の兆候があるとの報道を受け、4月11日付でプーチン大統領宛ての要請文を送付していた。

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