子どものころから「ハンモック」に憧れていた。揺れる感触が気持ちよくて、温泉施設や野外施設でハンモックを見るとつい乗ってしまう。家に一つあれば昼寝に最高だろうなと、店舗で値段をチェックしたことがあるが、数万円以上した記憶がある。ハンモック専用台も必要で価格や置き場所を考えると現実的ではない。
そんな筆者が心奪われて、登山中にネット注文してしまったハンモックを今回は紹介したい。
■安すぎて! 思わず山の中で購入してしまったハンモック
奈良県と和歌山県の稜線を結ぶ果無山脈(はてなしさんみゃく)を縦走していたときのこと。山中で木と木の間に吊るされた2張のハンモックを発見した。山でハンモックを見かけたのはこれが初めて。ハンモックが気になり、近くで休憩中の持ち主らしき男性らに声をかけてみた。
「素敵なハンモックですね、今日はここに泊まるんですか?」
「明日、天気が悪いので今日はお昼寝だけです」
聞くところによると、数年前からテントではなくいつもハンモックで泊まる二人。ハンモック泊の魅力は簡単に設置できて、軽いことだと言う。
ハンモックを触らせてもらう。買ったタイミングは違うけれども、二人とも同じ商品を使用している。
「生地が薄いんですね! 軽そう」
「付属の鉄製カラビナは重いから、そこだけは軽くて丈夫なアルミ製のものに変えているんです。だから全部で700gくらいかな」
筆者の持っている2kgあるテントよりはるかに軽い。設置も簡単で付属のロープを木に巻いて、両端をカラビナで固定するだけ。さらに蚊帳付きなのもポイントが高い。登山だけでなく、キャンプ場で使うのも気持ちよさそう。ますますハンモックに惹かれてしまう。
高そうなだな、いくらくらいするんだろうと気になり、失礼を承知で聞いてみた。
「これ高かったでしょう?」
「すごく高級ですよ」と二人は顔を見合わせて笑いながら答える。
「2〜3万円くらいで買えます?」
「ちょっと一桁違うね」
「え? 20〜30万円?」
二人は笑いながら「逆だよ」と。
なんと、まさかの2〜3千円台! それもAmazonで売っているらしい。
二人にお礼を言って、その場を後にして登山を再開。しかしハンモックが気になって仕方がない。次の休憩ポイントで電波が入ったため、Amazonのサイトを検索してみたら、なんと先ほど見たのと同じ商品を発見。しかもセール中で2,249円(税込)。これはもう買うしかない。さっそくその場で注文しようとしたら、仲間に「携帯が圏外だから、私の分も注文して欲しい」と言われ、結局2つ注文した。
■さっそく、ベランダで寝てみた
早くハンモックで寝てみたくて、ベランダで一晩過ごしてみることにした。
設置は簡単、ベランダの柵にハンモックの両端にあるロープを通して、カラビナで固定するだけ。カラビナを引っ掛ける輪も4段階になっているため、長さを調整できる。
本体の生地はかなり薄く、少し不安。万が一破れても大丈夫なように、ハンモックと底の距離が20cmくらいになるように低めに設置した。
恐る恐るハンモックに腰掛けて、全体重を預けてみる。大丈夫そうだったので、そのまま横になってみた。ハンモックが浅く、顔に蚊帳が当たる。少し横になっていると、腰が湾曲していることに違和感があった。そこでキャンプ用のモンベルのスリーピングマットを敷いてみる。すると腰の違和感は緩和され、横幅も広がった。
本体に縫い付けられている収納袋は、小物入れに便利。ハンモックの外側にあるため貴重品は入れられないが、ヘッドランプなどの小物を入れられる。
3シーズン用の寝袋をハンモックの中に入れて、蚊帳を閉めて寝ようとしたら愛犬(トイプードル)がハンモックに飛び乗ってきたので、一緒に寝ることにした。
■2,000円台のハンモックで一晩寝てみた結果は?
一夜明けて。
顔に蚊帳が当たるのが気になっていたが、朝起きると当たらなくなっていた。体重でハンモックの生地が下に伸びたようだ。20cmほど床から高さを上げていたにもかかわらず、お尻の一部が床についていた。しかし、かえってその方がハンモック内の空間が広くなり快適になった。
夜中に何度か寝返りを打ったが、問題はない。蚊帳も目も細かく、虫に刺されることもなかった。結露でシュラフが濡れることもなく、愛犬も朝まで気持ちよさそうに寝ていた。
いま一つだった点は生地が薄く伸びやすいため、腰の部分が湾曲すること。しかしスリーピングマットを敷くことで、かなり寝心地は改善された。
また、左右に細引きロープでテンションをとっていないとハンモックが不安定だ。寝ているときは問題ないが、ハンモックに乗るときや降りるときにひっくり返りそうになる。今回は片方だけ、手すりに結びつけてみた。片方固定するだけで安定感は増し、乗り降りが楽になった。
■コスパ最強! 激安ハンモック
生地が薄くて伸びやすい。左右のテンションをとらないと不安定などのマイナス面はあったが、この値段なら文句なしだ。しかも山で出会った男性たちは同じハンモックを数年愛用しているとのことで、耐久性もそれなりにありそうだ。
念願のハンモックを手に入れたおかげで、テント泊やキャンプの楽しみがさらに広がりそうな予感がする。
●Lenzai 最新型 ハンモック 蚊帳付き
価格/3,499円(税込)タイミングによって価格は変動する
平置きサイズ/2.9×1.4m
重さ/850g
推奨最大重量/300kg
※この記事の情報は2024年5月現在のものです。内容が変更される場合もありますので、最新の情報はHP等でご確認ください。