「老若男女が気軽に立ち寄れる施設に」 サウナで町と人々の心を“ととのえる”男性の挑戦 秋田・八峰町

秋田県八峰町の男性が町の施設をリノベーションし、サウナ施設をオープンさせた。「あしたからの生活に前向きになれるような場所を目指したい」と話す男性の挑戦を紹介する。

雄大な日本海を望む八峰町に5月、新たなスポットがオープンした。その名も「サウナカフェumikko(うみっコ)」。この施設をつくったのが、町内在住の鈴木了さん(35)だ。

東京で住宅メーカーに勤務し二級建築士の資格を持つ鈴木さんは、8年前、子どもの誕生をきっかけに生まれ故郷に帰ってきた。

帰郷後、町の地域おこし協力隊として空き家の活用に取り組み、協力隊の任期を終えると町内に設計事務所を立ち上げ、貸し切りコテージの運営などに携わってきた。

「サウナカフェumikko」は、町の施設だった建物を2023年に鈴木さんが譲り受け、新たな施設に改装した。

サウナカフェumikko・鈴木了さん:
「この物件が解体されるという話を聞いて、海が見える良いロケーションと温泉施設だったというサウナをつくりやすい環境だったので、今しかないと思い、サウナとカフェを作ることを決めた」

施設を譲り受けた鈴木さんは、誰もが集えるアットホームな空間を目指してデザインや設計を考えた。

サウナカフェumikko・鈴木了さん:
「海が見えて、広々とした開放的な雰囲気で、サウナは北欧のフィンランド発祥なので北欧らしいデザイン。日本にはあまりないカラフルな色使いを取り入れて、気持ちが明るくなるような内装やデザインを心がけた」

脱衣所から浴室に入ると2つのサウナ室が見えてくる。低温多湿でじっくり入ることができる「スチームサウナ」と、本場フィンランド式で高温の「ドライサウナ」だ。

ドライサウナでは、日替わりで提供するアロマ水でロウリュを楽しむことができる。鈴木さんが目指したのは「入っていて苦しくないサウナ」だ。

サウナカフェumikko・鈴木了さん:
「いまは90度とか100度の温度が高いサウナが多いが、このドライサウナは温度設定を一般的なサウナより10~15度くらい低くしているので、サウナが苦手と思っている人ほど来てほしい。温度が低くてもびっくりするくらい体感温度が高くて汗が出るので、初心者から慣れた人まで幅広く楽しめるサウナに仕上がっている」

サウナでしっかり汗をかいたら、水風呂で体をクールダウン。そして、ウッドデッキでの外気浴。休憩の時間だ。目の前に海と空が広がり、海風を全身に浴びれば“ととのう”こと期待大だ。

サウナカフェumikko・鈴木了さん:
「つい先日、サウナに来てくれた客が『こんなに秋田でゆっくり空を見たのは初めてだ』と感動していた。その言葉を聞いたときに『この施設をつくって良かったな』と思った」

サウナの後は、併設のカフェでさっぱりとしたシェイクやサンドイッチなどの料理を楽しむことができ、海を眺めながら時間を忘れて癒やしのひとときを過ごせる。

「老若男女が気軽に立ち寄れる施設にしたい」と意気込む鈴木さんに、今後の目標を聞いた。

サウナカフェumikko・鈴木了さん:
「サウナに入ったことがない人にとっては、サウナはハードルが高いものだと思う。この施設はカフェも併設しているので、気軽にカフェに来たついでに、試しで入ってみることもできる。日々の疲れや悩みがあると思うが、ここに来たときは一瞬でも忘れて、あしたからの生活に前向きになれるような、そういった場所にしていきたい」

鈴木さんはこれからも、サウナで八峰町を、そして町の人たちの心をととのえる。

サウナは予約なしで楽しめ、初心者向けのセットメニューもある。鈴木さんは今後、地元の野菜を使った料理も提供したいと話している。

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