<レスリング>【2024年東日本学生リーグ戦・展望】優勝へのエネルギーは「団体戦ならでは応援のパワー」…4大会連続優勝へかける日体大

▲4大会連続優勝を目指す日体大

(文・撮影=布施鋼治)

「去年同様、今年もギリギリの闘いになると思います」

6月13日、開幕まで2週間を切った2024年東日本学生リーグ戦の展望を聞くと、日体大の湯元健一コーチの口ぶりは、いつになく慎重だった。

「僕の中では、向こうに4名の強い選手がいる。小野正之助選手、荻野海志選手、五十嵐文彌選手、アビレイ・ソビィット選手。このうち1人は破らないと、ウチは優勝はできない」

コロナ禍で中止となった2020年と2021年を除けば、日体大は大会3連覇を達成しているが、今年の対抗馬と目される山梨学院大の今年のメンバーは、いつになく充実していると言われている。それだけに、湯元コーチは出場メンバーの人選にはいつも以上に腐心している様子だった。

▲チームを支える57kg級の全日本&アジア王者の弓矢健人

57㎏級は弓矢健人(3年)で勝負をかけるつもりだ。「弓矢にはアジア王者として、勝利の要として出てもらおうと思っています。相手は(直近の全日本選手権と全日本選抜選手権でいずれも3位の)勝目大翔選手になると思いますが、現在の弓矢の立場を考えたら、間違いなく勝ってくれると思います」

田南部魁星主将で山梨学院大戦(VS荻野海志)の勝負を託す!

61㎏級は、昨年12月の全日本選手権同級で現・主将の田南部魁星(4年)と決勝を争った西内悠人(2年)に期待をかける。

「小野選手が階級を上げてくるのか、この階級に出てくるのかは分からないですけど、順当にいけば、西内VS小野になると思う。今年に入ってから、西内はJOC杯U20と全日本選抜選手権で小野選手に負けている。今回はチャレンジャーのつもりで思い切りやってもらいたい」

65㎏級は、これまで61kg級でやってきた田南部に勝負を託す。湯元コーチは彼をポイントゲッターとしてとらえている。

▲チームをけん引する田南部魁星主将。階級を上げて65kg級での出場か

「本人もチームの先頭を切る気持ちがすごくある。田南部が勝つことが、ウチのチームの勢いづけにもなる。たぶん荻野選手と闘うことになると予想します。荻野選手とは、一昨年の東日本学生春季新人戦(男子フリースタイル65㎏級)で闘ったことがある(8-5で荻野の勝利)。お互いアタックを仕掛けるタイプなので、面白い試合になるんじゃないですか」

代表は、多くの部員の気持ちを背負ってマットに立つ!

70㎏級は細川周(2年)、74㎏級は髙橋海大(3年)を投入しようと考えている。髙橋に話を聞くと、「(山梨学院大戦は)この階級だと鈴木大樹さん、あるいは安藤慎悟君と闘うことになると思う」と予想を立てる。「自分はチームのために勝たないといけないポジションにいるので、もちろん勝ちに行く。持ち味であるタックルを駆使して勝ちに徹したい」

団体優勝について水を向けると、湯元コーチ同様、「厳しい闘いになると思う」と言葉を強めた。「個々の力だけで行ったら、山梨に盛り返されてしまう可能性もありえる。でも、日体大はチーム力で個々の力を上回れる。この大会は団体戦なので、チームとしての力を結集すれば勝てるんじゃないかと思います」

湯元コーチも、団体戦というところに注目する。「ウチは団体戦が強い。団体戦ならではの応援のパワーを使って勝ってもらいたい」

その源はやはりチームワーク? 「そうですね。多くの部員がいる。その中から代表として出場するわけですから、その代表を推す応援の熱量は大きい。ウチは団体戦では2割ほど力が増すんじゃないですかね」

▲全部員のほか、OB・OGが多く詰めかけた昨年のリーグ戦。今年も、熱い応援がチームの優勝を引き寄せるか

下級生の奮起を期待する重量2階級

86㎏級には神谷龍之介(2年)を起用する予定だ。湯元コーチは「対戦相手は五十嵐選手になると思います。正直、向こうの方が一枚上手なので厳しい闘いになると思うけど、神谷は6分間かけてしつこく攻めていくスタイルを得意とするので、ラスト1秒まで分からない試合をしてくれる。昨年の全日本選手権(フリースタイル79㎏級決勝)でも木下(貴輪)選手を相手にラスト数秒というところでポイントを取って勝ちましたからね。そのしつこさに期待したい」

125㎏級は2年連続高校三冠王(全国高校選抜大会、インターハイ、国体)として日体大に進学した甫木元起(1年=佐賀・鳥栖工高卒)に頑張ってもらいたいと願う。

「対戦相手はソビィット選手になるでしょう。甫木は、この階級では少し体重が軽いので、動き回って闘ってもらいたい」

▲昨年までチームを支えた兄・夢大(現三恵海運)と練習する髙橋海大

昨年は事実上の決勝となる1~4位決勝グループ3回戦で、日体大が山梨学院大を4-3で振り切ったが、試合順次第では、山梨学院大が流れをつかんで勝ってもおかしくない内容だった。

湯元コーチや髙橋も予想するように、今年もそこでギリギリの戦いが繰り広げられるのか。

▲湯元健一コーチの指揮ものと、団結する日体大チーム

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