新幹線延伸で1万3798人減 5月の小松羽田便利用者

北陸新幹線県内全線開業で羽田便の利用者が減少している小松空港

  ●6月も苦戦、応援割効果薄れ

 小松空港の主要路線である羽田便の5月の利用者数が前年同月比1万3798人減(16.4%減)の7万575人となったことが21日、県への取材で分かった。3月の北陸新幹線県内全線開業に伴い、飛行機から新幹線への利用シフトが加速しているとみられ、6月も日本航空便は同2割超の減少で推移している。能登半島地震を受けた国の観光支援策「北陸応援割」の特需が徐々に落ち着く中、石川と東京を結ぶ空の便の苦戦は続きそうだ。

 県によると、羽田便の利用者数は、4月が前年同月比4.1%減の6万7418人で、5月と合わせた2カ月間では同10.8%減の13万7993人となった。北陸新幹線の新駅ができた小松、加賀両市を中心に利用者が新幹線に流れているとみられ、北陸エアターミナルビルの担当者は「影響が明らかになってきた」と話す。

 4月に比べ、5月の減り幅が拡大したのは、北陸応援割による需要喚起が弱まったためだ。

 現時点で割引の対象となっている414の宿泊施設のうち、182施設が「完売」し、徐々に誘客効果は縮小するとみられる。同ビル担当者は「4月までは応援割での利用者増と、延伸による利用者減が相殺されていたが、今後は利用者減がより目立ってくる可能性がある」と推測した。

 21日に小松市内で開かれた小松空港協議会の総会では、羽田便を運航する日本航空、全日本空輸の支店担当者が苦戦する現状を報告した。

 1日6便を運航する日航は、利用者数について3月が前年同月比79%、4月87%、5月79%、6月75%と説明。1日4便の全日空も5、6月は90~92%となり、「弱含みの基調だ」と語った。

 一方、旅行シーズンに入る7月の予約状況は、日航が前年同期比100%近くまで回復しており、持ち直しに期待を寄せた。

  ●利用減対策予算なし

 県は小松―羽田便の利用促進に向け、ビジネス利用や乗り継ぎでの活用を促している。ただ、北陸新幹線延伸に伴う利用者減への対応に、現時点で新規の予算は投じていない。今後の利用状況によっては新たな需要喚起策を打つ可能性がある。

 県空港企画課の担当者は15年の新幹線金沢開業の際に羽田便利用者が3割以上減ったことを挙げながら、「今回はそこまでの影響は見られていない。今後の推移を注視したい」と述べた。

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