異業種の経営者4人 ITベンチャー設立 AI報告書アプリ開発

録音、要約、議事録作成などが可能

 建設やITなど異業種の経営者4人がITベンチャーのUNION×DESIGN(ユニオンバイデザイン、本社名古屋市緑区大高町己新田153の3、属(さっか)洋史(ひろふみ)社長)を立ち上げ、AI(人工知能)を活用した報告書アプリを開発した。商談などの会話を録音、要約して、議事録まで作成する。今春から法人向けに本格販売に乗り出している。

 属社長(37)は建設会社の日出山(本社名古屋市)を経営しており、顧客と商談を重ねる中で「言った」「言わない」の押し問答となることが多く、会社と顧客双方のために記録を残す必要性を実感していた。また紙のやり取りがほとんどのため、効率化したいという思いからアプリ開発の意欲が高まった。
 ただアプリ開発のノウハウがないため、AIエンジニアに声をかけるなどして起業メンバーを集めた。知り合いや紹介を通じてつながり、2023年6月にユニオンバイデザインを設立。建設会社ハンズアンドサプライ(本社田原市)の長谷川賢社長(40)、生成AIシステム設計のリアルバインド(本社東京都)の福田佳祐社長(35)、ソフトウエア開発のキーシステム(本社一宮市)の鍵谷隆社長(36)が取締役を務める。
 開発したアプリの名称は「SACCA(サッカ)」。属社長と長谷川取締役が使い勝手について意見を出し、福田取締役と鍵谷取締役が実際のアプリ開発に取り組んだ。
 録音、要約、議事録作成のほか、時系列に沿ってデータを管理するフォルダや、共有機能もある。セキュリティー面でも、一般社団法人中小企業個人情報セキュリティー推進協会による「DXマーク認証」を取得している。価格は、利用時間10時間までで月6600円。
 現在約30社と契約を結んでいる。建設や福祉、テレビ局などから引き合いがあるという。今後は図面のやり取りもアプリ上でできるように、機能を追加していく。
 調査会社アイ・ティ・アールによると音声認識市場は2026年度に300億円に迫る見込み。属社長は「そのうちの1割のシェアを取りたい」と話す。
 ユニオンバイデザインは資本金4900万円。開発期間を経て今年4月からアプリ販売を本格化し、直近5月は月商約40万円だった。年間を通じてアプリの売り上げが見込める25年5月期は、年商1億円を計画する。

© 株式会社中部経済新聞社