宇宙戦艦ヤマト・森雪役の元祖アイドル声優が思い出語る 幻の交響組曲初演決定

 「宇宙戦艦ヤマト」の森雪役で知られる・一龍齋春水(麻上洋子)

 和製ポップスの開拓者で、ザ・ピーナッツの「恋のバカンス」や園まりの「逢いたくて逢いたくて」など数多くのヒット曲を持つ作曲家、宮川泰氏(2006年死去)による「交響組曲 宇宙戦艦ヤマト」の楽譜がこのほど発見され、SFアニメの金字塔「宇宙戦艦ヤマト」放送50周年の今年、10月6日に東京・ギャラクシティ西新井文化ホールで初演されることが決定した。ヒロイン・森雪役を演じた元祖アイドル声優の麻上洋子こと、現在は講談師の一龍斎春水(71)が「ヤマト」の思い出を語った。

 「交響組曲-」は1977年、「ヤマト」の劇伴をもとに宮川氏がフルオーケストラでスケールアップした作品。LPは大ヒットしたが、楽譜の紛失で実演されることはなく、宮川氏が10分程度に縮小した「組曲 宇宙戦艦ヤマト」や、交響組曲からの数曲が演奏されるにとどまった。

 このほど、オーケストラ「おーけすとら・ぴとれ座」の座長、指揮者で、親子二代のヤマトファンである池田開渡氏が、宮川氏の実子で「マツケンサンバ2」や「宇宙戦艦ヤマト2199」などの新ヤマトシリーズでも知られる作曲家の宮川彬良氏に直訴。スコアの初稿も発見され、彬良氏の監修で全曲のスコアが再現された。

 初演に臨むのは彬良氏、池田氏とおーけすとら・ぴとれ座、ぴとれ座合唱団に加え、NHK連続テレビ小説「ブギウギ」の歌唱指導を担当したゆうき(スキャット)、江森孝之(ギター)、塩田哲嗣(ベース)。勘座光(ドラムス)。ピアノは宮川泰氏の孫・宮川大典が担当する。

 麻上こと春水は「宇宙戦艦ヤマトは、私の声優キャリアの中でとても大切な作品です。これほど音楽を大切に作り上げていた作品は、当時他の番組にはない姿勢だったと思います」、「さまざまな宇宙空間でのシーンに、ある時は優しく、ある時はドキドキ、また荘厳重厚な響きに想像を広げて感動していました」と、「ヤマト」と音楽の関係性を指摘。

 「宮川先生とはお話しする機会はありませんでしたが、ひょうひょうとしたいつも楽しげなご様子は遠くながら拝見したことがあり、ヤマトの音楽の源をのぞかせていただいたようでした」と宮川氏の思い出を語った。

 また、「声優は音楽と出会うのはセリフを収録した後、放送される時」とした上で「でも、ニッポン放送のラジオドラマの時だけは、効果音や音楽を共に楽しみ、さらにイメージを膨らませて演じることができました。うれしく懐かしい思い出です」と振り返った。

 麻上こと春水は声優として「宇宙戦艦ヤマト」の森雪役、「銀河鉄道999」のガラスのクレア役、「名探偵ホームズ」のハドソン夫人役、「シティーハンター」の野上冴子役などで知られ、アイドル的な人気を博した。講談師としては人間国宝・一龍斎貞水の門下で、一龍斎春水を名乗り2004年に真打昇進。2012年からは声優・講談師ともに芸名を一龍斎春水としている。

© 株式会社神戸新聞社