【宝塚記念】高い機動力と持続する末脚がコース攻略のカギに 京大競馬研の本命はドウデュース

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高い機動力と持続する末脚が必要なコース

6月23日(日)に宝塚記念(GⅠ)が行われる。阪神競馬場の改修工事に伴い京都競馬場での代替開催となった。昨年は世界最強馬イクイノックスが人気に応え大外一気で全馬をなぎ倒しその力を示したレースだが、今年はその5歳世代の日本ダービー馬にして有馬記念を制したドウデュースや、昨年の宝塚記念と天皇賞(秋)でイクイノックスと善戦したジャスティンパレス、現4歳世代の牡馬で初めて古馬GⅠを制したべラジオオペラなど、日本競馬を代表する有力馬が多く集結した。春のGⅠシーズンを締め括るにふさわしい、非常に難解かつ大注目の一戦となった。

以下では、本レースが行われる京都芝2200mのコース形態とそれに起因するレース質、そして想定される展開を踏まえ予想する。

まずは京都芝2200mのコース形態を見る。正面スタンド前からスタートし、初角までの距離は約400m。平坦な1~2コーナーを回り、約500mの向正面に高低差4mほどの上り坂が設けられている。その後は外回りコースを使用し、3コーナーを頂点として一気に下る。最後は平坦な直線(Dコース使用時398.7m)が待ち構えている。

初角までそれなりの距離があるコースだが、2200mという距離と直線の長い外回りに対して控える騎手心理が働くためか、序盤のペースは上がりにくい。その後も向正面が上り坂のため中盤のペースもゆったりと流れる。3コーナーの下り坂から一気にペースが上がりロングスパート戦となる。上がりが使える差し馬有利の展開になりやすい。

一方で序盤~中盤で脚を溜めた先行勢も3コーナーからペースを上げていく。後方勢は直線に入るまでに先行勢とのポジション差を縮める必要があり、コーナーでマクっていける機動力も同時に求められる。高い機動力とコーナリング能力で自ら位置を上げていき、長く良い脚を使える馬が恵まれやすい、というのがこのコースによって生まれるレース質だ。

過去10年、京都外回りの芝中距離戦、3勝クラス以上のレースにおける4角5番手以内の馬の成績を比較すると、1800mでは勝率14.3%、複勝率36.1%、2400mでは勝率12.4%、複勝率33.7%に対し、2200mでは勝率11.3%、複勝率31.7%。勝率、連対率、複勝率いずれも3コースのなかでやや低い。前目の位置で運べるかどうかより高い機動力と持続する末脚が重要で、この二つの能力が高い馬を中心に印を打っていきたい。

続いて今回想定される展開から恵まれる馬を考える。メンバー構成は前走通過順位に3番手以内がある馬は3頭と、出走馬全13頭に対して少ない。その3頭も「絶対にハナまで取り切りたい」という徹底した先行馬ではない。したがってコース形態から生まれるレース質の通り、序盤、中盤のペースは緩み、3コーナーからのロングスパート戦になることはほぼ確実だろう。

やはり重要になるのは持続する末脚で、直線に入るまでにより前目の位置まで押し上げることのできる機動力の高い馬を、最も展開に恵まれる馬として高く評価したい。

必要な能力は有馬記念で証明済み

◎ドウデュース
前走ドバイターフは出遅れた上に直線で前が壁になる不利があり、完全に度外視可能な敗戦。2走前の有馬記念は2、3着に番手で運んだスターズオンアース、逃げたタイトルホルダーが入る前残り展開を、ほぼ最後方から進め向正面から3~4コーナーにかけて一気にマクっていき上がり最速の脚を使っての勝利。まさに今回求められる高い機動力と持続する末脚で完封する強い競馬だった。

その有馬記念は叩き3走目の勝利ということもあり、今回は休み明けを不安視する声がある。確かに叩き良化型ではあるものの、大敗した天皇賞(秋)は約8か月ぶりの実戦で、今回とはあまりに間隔が異なる。また当時は休み明け以上に、適性外の超ハイペースを無理に追走させたことが敗因。今回は1週前追い切りでラスト2F10.9-10.8という抜群の時計を記録しており状態に関しては疑う余地が全くない。間違いなく勝ち負けできる。

◯ジャスティンパレス
前走ドバイシーマクラシックは追い出しが遅れるロスがありながらも僅差4着。海外GⅠであったことも含めて評価を下げる内容ではない。2走前の有馬記念は同じく後方から立ち回ったドウデュースには完敗の内容だが、前残り展開で上がり2位の強烈な末脚を使って追い込み0.3秒差4着と高く評価できるものだった。昨年は天皇賞(春)を勝利した後、2走続けてイクイノックスと小差の競馬をしたように、今回のメンバーではドウデュースとともに実力が完全に抜けている。本馬とのタッグでは4戦4勝のC.ルメール騎手へ鞍上が戻ることも最上。この馬の最大限のポテンシャルを引き出せば勝ち負けは必至だ。

▲ローシャムパーク
前走大阪杯は中盤の緩んだペースで一気にマクって先団にとりつくも、勝ち馬ベラジオオペラより1頭分外を回し続けた分、差し切れずクビ差2着。負けてしまったものの高く評価できる内容だった。注目すべきは3走前のオールカマーで、前走(道中7、8番手を追走)とは異なり先行すると、楽に逃げたタイトルホルダーやゼッフィーロといった相手に完勝。GⅠ級の能力を示した。自らマクっていける高い機動力を持つため、持ち前の能力を出し切れれば勝ち負けになる。

△ベラジオオペラ
逃げ馬不在のメンバー構成で今回最も逃げる可能性が高いと見る。前走よりも楽に先行できる。古馬混合戦における現4歳世代の弱さが露呈してきている感は否めないが、この馬単体で見ればローシャムパークを抑えた前走の内容は高く評価すべきである。その内容だけ走れば前目から押し切ってもおかしくない能力は秘めている。

×ディープボンド
ベラジオオペラに次いで逃げる可能性が高い。能力的には当落線上ではあるものの、週末の雨で馬場が渋り、かなり上がりのかかる馬場になることを踏まえて、逃げもしくは好位追走での好走に期待し押さえておきたい。

買い目は◎単勝1点、◎-◯-▲△×3連複3点で勝負する。(花田)

▽宝塚記念予想印▽
◎ドウデュース
◯ジャスティンパレス
▲ローシャムパーク
△ベラジオオペラ
×ディープボンド

ライタープロフィール
京都大学競馬研究会
今年で30周年を迎える、京都大学の競馬サークル。馬主や競馬評論家など多くの競馬関係者を輩出した実績を持つ。また書籍やGⅠ予想ブログ等も執筆。回収率100%超えの本格派が揃う。



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