車窓にライトアップされる花々を鑑賞 小田急箱根の「夜のあじさい号」運転始まる(神奈川県箱根町)

箱根登山電車の主力車両は近代的な3000形・3100形「ペルニナ号」だが、鉄道ファンが乗りたいのはクラシックなモハ1形(写真:小田急箱根)

神奈川県箱根に夏の訪れを告げる、箱根登山電車の観光列車「夜のあじさい号」(列車名は「あじさい号」)の運転が、2024年6月15日から始まった。6月30日までの16日間で、観光列車は全席指定制。小田急グループの小田急箱根(企業名)は、座席券をインターネット発売している。

箱根湯本から終点の強羅まで、登山鉄道沿線のアジサイはざっと7000本。小田急箱根によると、鉄道社員があじさいの植栽を始めたのは1973年ごろ。1985年には「あじさい電車」のネーミングが定着した。1994年には、ライトアップと座席指定列車・あじさい号の運転が始まった。箱根湯本と強羅には450メートルほどの高度差があり、季節が進むに連れて鑑賞スポットも高地に移る。

箱根湯本~強羅間に点在するライトアップスポットでは、電車内の照明を落として徐行運転、鑑賞・撮影タイムを確保する。沿線の期待も大きく、2010年には神奈川県観光協会が選定する、第1回かながわ観光大賞の観光プロモーション部賞を受賞している。

点灯時間は毎日18時30分~22時。あじさい号は、箱根湯本~強羅間(途中下車不可)1日1往復または2往復のダイヤで運行する。

追加情報で、あじさい号乗車で箱根を訪れたら、立ち寄りたいフォトスポットが登山電車の蛇骨陸橋(宮ノ下~小涌谷間)だ。全長38メートルの陸橋は2019年10月の東日本台風で落橋したが、2020年7月に全線で運転再開。陸橋下部には遊歩道が整備され、箱根の大自然を走る登山電車のダイナミックなシーンが撮影できる。

陸橋を山肌から離して災害に負けない鉄道を実現した絶景スポット・蛇骨陸橋(写真:土木学会)

記事:上里夏生

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