福島県の広域路線バス、再編・見直し 年度内に中通り2地域

 県は21日、再編・見直しの考えを示していた県内の広域路線バスについて、本年度は「県北」「県中・県南」の中通り2地域で実施する方針を明らかにした。両地域とも利用者の減少により存続が危ぶまれる路線を多く抱え、抜本的な統廃合などにより国庫補助の特例を受ける条件を整える考えだ。検討対象には通学利用の多い路線も含まれ、調整は難航が予想される。

 地域公共交通活性化協議会を福島市で開き、市町村をまたぐ広域路線バスを含む交通網の方向性を示した。県によると、2地域で国の補助を受ける広域バス29路線(地域間幹線系統)のうち、17路線は乗客数などから算出される輸送量が国の補助要件の「1日15人以上」を満たさず、東日本大震災の被災地に適用される激変緩和措置が終了すれば、補助は打ち切られる。

 ただ、路線の再編・見直しを通じて持続可能なサービス提供を目指す「利便増進実施計画」を策定し国の認定を受けることで、補助要件は「1日3人以上」に緩和される。県は来年2月までに2025年度から5年間の計画を策定する方針。

 再編・見直しの方法として、路線の統合や経路変更、ダイヤ調整などを例示。今後は同協議会の下に実務者会議を設け、各路線について、区間別の利用実績や他の交通機関との接続などを詳しく分析し、再編の必要性と方法を判断する。

 17路線のうち12路線は県中・県南に集中し、郡山駅と近隣町村を結ぶ路線を含む。県は運行事業者や市町村の意向を重視する考えだが、利用者には一定の不便が生じる可能性が高い。残る5路線を抱える県北地域は、大型商業施設「イオンモール北福島(仮称)」の26年ごろの開業も見越して検討を進める。

 協議会会長の佐藤司県生活交通課長は「今のままでは路線を維持できなくなる恐れがあり、守るべき路線は守りたい。再編は痛みを伴うが、丁寧に協議を進める」と述べた。

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