福島県への移住、23年度は過去最多3419人

 県は21日、2023年度の県内への移住者数が2437世帯3419人となり、前年度(1964世帯2832人)を上回って過去最多を更新したと明らかにした。県は新型コロナウイルス禍でテレワークや地方移住への関心が高まったことに加え、県や各市町村による情報発信や移住支援事業が効果を上げたとみており、今後も移住、定住の促進に向けた取り組みを強化する考えだ。

 年度別の移住世帯と移住者数の推移は【グラフ】、地域別の増減は【表】の通り。移住者数は、各市町村が転入届受付時に行ったアンケートを基に集計。地域別では、東日本大震災と東京電力福島第1原発事故からの復興が進む相双が806人と最も多く、県中の690人、県北の566人、会津の510人と続いた。南会津といわきは前年度を下回ったが、いわき市は窓口の混雑によりアンケート回収率が低下した時期があったことを減少理由としており、実際の移住者数はさらに多かった可能性がある。

 年代別では7割が10~40代で、若い世代の移住が多い傾向がみられた。移住前の住所は東京、神奈川、千葉、埼玉の1都3県が約半数を占めており、隣県の宮城県からの移住も約1割あった。世帯別では単身が約76%だった。

 県は23年4月に「ふくしまぐらし推進課」を新設し移住、定住の推進体制を強化するなど、人口減少が進む中で移住者の受け入れに力を入れている。本年度は課題である若い世代の県外流出抑制に向け、首都圏の若い世代のUターンに力を入れる考えで、夏から秋ごろに交流会の開催などを予定している。県が20日に公表した実態調査では、首都圏で暮らす本県出身の若い世代のうち将来的に県内に戻る可能性が「ある」「ややある」としたのは約25%にとどまり、こうした機会を通じて移住のきっかけをつくりたい考えだ。

 県総合計画では、年間の県内移住者数を30年度に4500人とすることを目標に掲げている。21日の県議会6月定例会で自民党の佐藤雅裕議員(福島市)の代表質問に答えた内堀雅雄知事は「人が人を呼ぶ好循環を生み出し、市町村や関係機関と一丸となって本県への移住、定住のさらなる促進に取り組みたい」と語った。

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