ニッコーがカカオ調達でインドネシアの大学と協定 安定生産へ品種改良連携

連携協定を締結した(左から)可児直往社長、ジャマルディン・ジョンバ学長、中村廣秀会長=各務原市那加山崎町、日幸製菓

 チョコレート原料のカカオが高騰する中で、菓子販売のニッコー(岐阜県各務原市那加山崎町、可児直往社長)は、西アフリカの主要生産国に次ぐ生産地とされるインドネシアで新たな調達網の構築に乗り出した。生産農家とのパイプを持ち、農学系が強い国立ハサヌディン大と連携協定を締結した。日本国内への供給拡大に向け、生産農家が抱える課題を解決し、まずは安定生産できる土台づくりを進めていく。

 天候不順や病害で西アフリカのコートジボワールやガーナからの供給が先細る影響で、米ニューヨーク市場のカカオ先物価格は4月19日に過去最高値の1トン=1万2261ドルを記録。価格高騰の流れは変わっておらず、1年前と比べると3倍の価格に跳ね上がっている。国内のメーカー各社は値上げに加え、調達先を見直す動きが出ている。

 ニッコーはグループ会社の日幸製菓がチョコ菓子を製造し、流通大手のプライベートブランド商品も供給している。原料はガーナ産に頼っていたが、気候変動の加速や船輸送のリスクの高まりを受け、インドネシアに目を付けた。

 インドネシアはカカオの木が豊富だが、近年は気候変動で収穫量が落ち、未知数な部分も多いという。今後は同大と連携して気候変動に強い品種改良に取り組むほか、持続可能な栽培から原料加工までの体制構築を目指す。

 21日に日幸製菓本社で協定の調印式を行い、同大と同国への進出を支援するコンサルティング会社AAI(福岡県久留米市、中村廣秀会長)との3者で連携協定を締結した。ジャマルディン・ジョンバ学長は農家の所得向上を重視するニッコーの企業姿勢に共感したとした上で「チョコレートビジネスにおいて強固なパートナーシップを構築できるといい」と述べた。可児社長は「当社が使っている原料との違いを把握し、当社として何ができるか話を詰めていく。品質が良くなればどんどん使っていきたい」と話した。

インドネシアで栽培されているカカオ

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