広島 いつまでも発展途上の野球をやっていてはいけない 岡義朗氏「たった1球で流れは変わるもの」

4回、二盗に失敗した野間峻祥(撮影・市尻達拡)

 「中日1-0広島」(21日、バンテリンドーム)

 首位広島が敗れ、2位阪神とのゲーム差が1.5に縮まった。交流戦明け初戦で高橋宏を攻略できず、今季12度目の完封負け。デイリースポーツ評論家の岡義朗氏は「広島は優勝を狙える位置にいるチーム。もっと高いレベルの野球を」と語り、1球で試合の流れを変えられるプレーの質の向上を求めた。

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 広島がまた完封負けを喫したね。床田が粘り強く投げ、バックの好守もあって緊迫した試合展開にはなったが、この敗戦を単に“打てなかった”で終わらせては進歩がないでしょう。

 (広島は先発の高橋宏を攻め、二回無死一塁で末包が二ゴロ併殺。四回は無死一塁で三振併殺。七回一死二、三塁も生かせず結局、完封リレーを完成させられた)

 何回かチャンスがありながら、それを広島はものにできなかったということ。終わってみればカリステの一発で決まったが、試合の流れを引き込むチャンスは何度かあったはずだ。

 特に1点を取るためのベストプレーができたかどうか-という点で疑問が残るのは四回の三振ゲッツー。これは今後の教訓にすべきだろう。

 一塁走者、野間のスタートはどうだったのか。ベストだったのか。フルカウントからの自動スタートとなるランエンドヒット。牽制死だけは避けないといけないが、ウエストボールのない状況でどこまでスタートに集中できていたか。これは自分自身に問いかけてほしいところだ。

 一方、打者の小園は内角低めの球を見逃した。“ボール”と判断して見送ったのだろうが、球審の手が上がった以上はストライクだ。微妙なコースは振りにいかなければならないのが鉄則。あれはボールだから-で済ましていては、いずれまた同じ失敗を繰り返すことになる。

 ベンチは積極的な走塁を推進している。だから盗塁数は多い。その反面失敗も多いのが実情で、ほぼ2回に1回は失敗している。発展途上のチームならそれでもいいが、いま広島は首位にいる。優勝を狙う以上は選手個々が、もっと高いレベルの野球を目指す必要がある。

 たった1球で好機がしぼみ、ガラっと試合展開が変わるということはよくある。逆に1球で試合の流れを変えられるチームになっていかないといけない。

 ただ、積極走塁のいい面もあった。九回二死一塁から代走の羽月が二盗を決めたシーン。1点リードされている場面で盗塁を試みるのは非常に勇気がいるものだ。

 私は現役時代に3度、盗塁失敗で試合を終わらせてしまった苦い経験がある。しかし、当時のカープには“それでも走らせる”という方針があった。相手チームに対し“走られる恐怖”を植え付けるために。

 羽月に感じるのは生かし、プロのスペシャリストとして生きていく強い覚悟。こういう意識はほかの選手にも見習ってほしいと思う。

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