つくばに地ビール新工場 生産5倍 缶入り、たる詰めも 茨城

新工場の醸造タンクの前に立つ延時崇幸社長=つくば市筑波

茨城県つくば市で初めてクラフトビールに取り組んだつくばブルワリーの新工場が同市筑波に完成し、6月から本格稼働を始めた。既存の工房が手狭になり、昨年8月から工事を進めていた。生産能力は従来の1万3000リットルから約5倍の6万6000リットルに向上したといい、今後は缶入りやたる詰めの販売も始める。延時崇幸社長(42)は「つくば発のおいしいビールを全国に広めたい」と意欲を燃やしている。

つくばブルワリーは2020年開設。同市二の宮に工房を構え、福来(ふくれ)みかんや米などさまざまな原料を使用した個性的なクラフトビールを店頭で提供。フルーティーで飲みやすい味から、ホップの効いた苦味のあるビールまで、多彩な品ぞろえで話題を集めてきた。ただ、生産能力に限りがあり、4基ある容量300リットルの醸造タンクはフル稼働。外販も断る状況だったことから、新工場建設に踏み切った。

新工場は筑波山の麓にあり、敷地約960平方メートル、建屋は木造一部2階建てで延べ床面積188平方メートル。容量600リットルと1200リットルの醸造タンクをそれぞれ4基備える。地下約90メートルからくみ上げた天然水を使い「飲みやすく、喉越しが良い味に仕上がっている」(延時社長)という。

総事業費は約1億3000万円。国と市の補助金計約3300万円を活用するほか、クラウドファンディングでも資金536万円を集めた。

5月中旬に初めて醸造を行い、今月16日にはオープニングイベントを同所で開き、クラフトビールを関係者に振る舞った。

今後、定番商品として5種類を用意し、さらに季節ごとに数種類を加えて販売していく方針。醸造する回数は年間90回程度を想定する。来年春には周辺の畑でホップの試験栽培にも取り組む考えだ。延時社長は「筑波山周辺では果物や米の農家が多い。コラボレーションして筑波山麓らしいビールも提供していきたい」と話す。

工場建屋の一部に販売スペースを設け、土日曜に営業する計画。二の宮の工房は稼働停止するが販売は継続する。

筑波山の麓に完成したつくばブルワリーの新工場=つくば市筑波

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