新興企業の優遇制度導入 茨城県 随意契約9社認定

茨城県は21日、県内のベンチャー企業と随意契約を結び、公共調達で優遇する制度を始めたと発表した。同日、実用性の高い製品やサービスの開発に取り組む9社を指定した。企業への支援を強化し、投資家向けの説明会なども展開。研究機関が集積する茨城県の強みを生かした技術革新による産業力向上を目指す。

県は4月、「ベンチャートライアル優良商品等創出事業者認定制度」を創設。県内に本社や拠点を置くベンチャー企業の優れた製品やサービスを認定し、随意契約で県が調達、活用することにより、商品販売の実績づくりを後押しする方針を示していた。

同制度に基づき、有識者による審査で選ばれたのは9社10製品・サービス。今後、各部局の需要などを調査した上でマッチングを図り、段階的に各社製品を県庁内で活用する。

認定された製品は、車いす専用の段差解消機や会話をリアルタイムで可視化するシステム、施設利用や料金支払いの無人化サービスなど。継続して申し込みを受け付け、認定製品を増やす。県によると、ベンチャー企業の製品を認定し、随意契約を交わす制度導入は全国的にも珍しいという。

ベンチャー企業の多くは実績が少なく、開発した製品やサービスが実際に企業や行政機関などで活用されるにはハードルが高いのが現状だ。県が積極的に活用することで製品の有効性を周知し、市場での信用構築につなげる。

このほか、投資家とのマッチングを促す取り組みも進める。7月末、県経営者協会と連携し、企業間交流会を開催。来年1月、ベンチャー企業の事業を国内外の投資家に紹介する大規模な「ピッチ会」を提供する。

県科学技術革新課によると、県内ベンチャー企業が投資会社などから調達した資金の総額は、2019~23年の5年間で計36件の約160億円に上り、14~18年の5年間と比べ3倍超に拡大した。

同日の定例会見で、大井川和彦知事は「研究機関が集積する茨城県の強みを生かし、ベンチャー企業にしっかり光を当てて産業界のイノベーションを進める」と力を込めた。

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