年金は「いつから」「いくら」もらえるの?…会社員が定年までに知っておきたい〈年金制度〉の基本【FPが解説】

(※写真はイメージです/PIXTA)

自分が受け取る年金について、「いつから」「どんな年金を」「いくら」もらえるのか……きちんと答えられる人は決して多くありません。そこで、『定年までに知らないとヤバイお金の話【最新版】』(彩図社)の著者でファイナンシャルプランナーの岡崎充輝氏が、定年までに知らないと危ない〈年金制度〉の基本を解説します。

定年後にもらえることは知っているが…「年金」って、そもそもなに?

定年後の収入の代表は、やはり年金ですよね。この数年で年金制度は大きく変わりました。しかし、その正確な情報をほとんどの人は知りません。というより、「制度が複雑でよく分からない」ということが大きいのかもしれません。

「いつから」「いくら」もらえるの?

これが、正確に分かる人は意外に多くありません。むしろ、色々な噂話だけが1人歩きしている感もあります。

「となりの〇〇さんのご主人はこれぐらい年金をもらっているらしい」とか、「〇〇さんは奥さんの分も上乗せして年金をもらっているらしいのに、我が家はないの?」とか、まあ色々な又聞き話が先行するものです。

確かに年金の話はいささか複雑です。色々な制度と年代によってもルールが異なります。だから、年金制度の全容をすべて知ることなんて、素人の私たちには不可能ですし、意味がありません。そもそも年齢や家族構成によって違いが生じるものです。あまり比較しすぎないようにしてください。

年金制度をすべて理解する必要はありません。しかし、基本的な仕組みを知っておくと、年金事務所(旧社会保険事務所)へ出向いて話を聞く際便利ですので、基本的な部分と基本的な言葉(用語)だけ、簡単に見ていきましょう。

年金は、大きく分けて「3種類」

では、「いったい年金って何?」というところから始めていきましょう。「おいおい、そこからですか!?」というツッコミが入りそうですが、まずは整理させてください。年金とは、大きく分けて、3種類あります。

①老後の年金

②遺族の年金

③障害者年金

一般的に年金といえば、老後の年金のことを指しますが、正確には「老齢年金」というのです。

国民年金・厚生年金は“加入している”年金の種類

こういう話題になると、「それじゃあ、国民年金や厚生年金っていうのは、どんな年金なの?」という質問をいただきます。国民年金・厚生年金はもらえる年金の種類ではなく、加入している年金の種類です。

サラリーマンは一般的に厚生年金に加入していて、それ以外、主に自営業の方は国民年金に加入していることになります。

「厚生年金」加入者は、自動的に「国民年金」にも加入している

しかし、ここからが年金のややこしい部分になるのですが、厚生年金の加入者とその被扶養配偶者は、自動的に国民年金に加入していることになっています。図に表すと[図表]のような感じです。

[図表]年金の構造 出典:『定年までに知らないとヤバイお金の話【最新版】』(彩図社)より抜粋

この図で言えば、「第2号被保険者」と呼ばれる人と「第3号被保険者」と呼ばれる人は、保険料を納めていなくても、会社の給料から天引きされる厚生年金保険料の中から国民年金も支払っていることになるわけです。

たったこれだけのことでも分かると、年金事務所に行って腹が立つことが少なくなります。年金の話がどうしても難しくなってしまうのは、普段使っている言葉と正式な専門用語が違うからなのです。

ちなみに、先ほどの「老齢年金」に焦点を絞ると、国民年金の方から支払われる老齢年金を「老齢基礎年金」、厚生年金の方から支払われる老齢年金を「老齢厚生年金」といいます。

つまり、サラリーマンだった人は、「老齢基礎年金」も「老齢厚生年金」ももらえることになります。

岡崎 充輝
ファイナンシャルプランナー
株式会社ヘルプライフオカヤ 代表取締役

© 株式会社幻冬舎ゴールドオンライン