鉄道の痕跡が残る「珍しいバス道路」一部が廃止へ 地方の「高規格バス」のはしりとも言える白棚線

白棚線のバス専用道区間((c)ほじん-stock.adobe.com)

JRバス関東白河支店は6月14日、「白棚線」の走行ルートを変更し、三森~表郷庁舎前間のバス専用道を廃止することを発表しました。

白棚線は、東北本線の白河駅などと水郡線の磐城棚倉駅などを結ぶ、一般路線バスです。よくある一般的なバス路線のような白棚線ですが、この路線の特徴は、一部区間でバス専用道を経由すること。しかも、その専用道は、かつては鉄道が敷設されていた廃線跡となっています。

白棚線は、1916年に白河~磐城棚倉間を結ぶ「白棚鉄道」の路線として開業しました。1938年には国が借り入れて国営鉄道路線の一つとされ、1941年には正式に国に買収されますが、1944年、戦時中の物資不足を理由に「不要不急線」として休止となってしまいました。戦後、鉄道としての復活を望む声もあったものの、国鉄は採算が合わないとしてこれを断念。かわりに鉄道用地をバス専用道として活用することとなり、1957年に専用道が開業しました。

近年は、鹿島鉄道(→かしてつバス)や、気仙沼線・大船渡線(→気仙沼線BRT・大船渡線BRT)、日田彦山線(→BRTひこぼしライン)のように、廃止となった路線の鉄道用地をバス専用道に転用する「BRT」(バス高速輸送システム)の路線が増えています。先の経緯で生まれた白棚線のバス専用道も、BRTとは案内されていませんが、これに近い施設です。日本で導入されているBRTは、連節バスなどを導入し、従来の路線バスよりも高速化を図る(こともある)都市部のものと、専用道を用いる地方でよく見られるものの、2つのタイプがあります。白棚線は、日本における後者のはしりとも言えそうです。

バス専用道の一部廃止について、JRバス関東は専用道の老朽化、白河市は運送収入の減少を受けた今後の路線バスの維持確保策と説明しています。専用道の該当区間は、6月30日の運行をもって廃止。7月1日以降、白棚線三森~表郷庁舎前間は国道289号線経由となり、専用道上のバス停も、国道に移転する予定です。

【6月24日追記:当初は専用道の全区間を廃止すると記述しておりましたが、正しくは一部区間の廃止でした。お詫びして訂正いたします】

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