絶滅危惧種オキチモズク 22年ぶり“自生”確認 雲仙・国見の六条川

六条川下流で確認されたオキチモズク(市教委提供)

 長崎県内で雲仙市国見町の釜蓋川だけに生息するとされていた絶滅危惧種の藻、オキチモズクが、同町内の六条川下流で発見されたことが分かった。市教委によると、六条川で最後に確認されたのは22年前。専門家は「良い状態でかなり広範囲に生えている」と驚いている。
 オキチモズクは淡水産紅藻(こうそう)類で赤みがかった色が特徴。環境省レッドリストの絶滅危惧I類。秋から冬に芽が出て、春に繁茂し夏に消滅する。全長10~40センチといわれるが、釜蓋川に生育するものは年々短くなり、今年4月の調査では10センチ弱。九州では福岡、熊本、鹿児島各県でも確認されている。

六条川下流で確認されたオキチモズク(中央付近の赤茶色、雲仙市教委提供)

 六条川下流の周辺住民が5月上旬ごろ、「オキチモズクではないか」という10センチほどの藻を発見し、今月10日に町内の「オキチモズクをまもる会」(香月裕純会長)に連絡。九州大大学院農学研究院の栗原暁助教(分類学)が17日、橋を挟んで60~70メートルにわたり、30センチ程度に伸びたオキチモズクが生息しているのを確認した。
 栗原助教は「橋の上からでもひも状に川の中でたなびくのが分かるほど状態が良く、多く生えていて貴重」と話す。川には湧き水が流れ込み、17日の水温は19~20度。オキチモズクの生育条件は▽きれいな流水▽10~25度の適温▽日陰-とされる。発見された地点は年間を通して条件を満たすと推測されると言う。
 釜蓋川から離れた川でなぜ確認されたのかは不明だが、栗原助教は「六条川の状態が以前よりも良くなり、オキチモズクを食べた鳥のフンが入ったのでは」と可能性を指摘している。

オキチモズク生息地

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