【庭球(男子)】主将が決めた!早慶戦2連覇達成!/早慶対抗庭球試合

昨年26年ぶりの優勝を掴み取った慶大。その栄冠を手放さないために戦う慶大はダブルスでは1ー2と劣勢を強いられるが、2日目のシングルスでは勝利を重ね、最後は主将下村亮太朗が部員やOBに見守られる中勝利し、2連覇を達成した。

第197回早慶対抗庭球試合

6月15日(土)・16日(日)@慶應義塾大学 蝮谷テニスコート

♢試合結果♢

慶大 5{D1−2、S4ー2}4 早大

D1	●下村亮太朗(法4・慶應)・高木翼(総4・関西)	2{7-6(2),4-6,6-3,3-6,2-6}3	〇山口柚希 •森田皐介D2	〇脇坂留衣(環4・興國)・眞田将吾(環2・四日市工業)	3{3-6,6-3,6-2,7-5}1	●栗山晃太朗・本山知苑D3	●菅谷優作(法3・慶應)・石島丈慈(商2・慶應)	2{4-6,6-3,6-4,2-6,3-6}3	〇藤田大地・前田優S1	〇下村亮太朗	3{7-6(5),6-1,6-4}0	●山口柚希S2	〇高木翼	3{7-6(10),6-1,6-4}0	●木原啓汰S3	●眞田将吾	0{3-6,6(4)-7,3-6}3	〇栗山晃太朗S4	〇菅谷優作	3{6-2,6-3,6-0}0	●森田皐介S5	〇脇坂留衣	3{6-4,6-3,6-4}0	●鈴木蒼平S6	●安藤凱(法1・慶應)	0{2-6,0-6,0-6}3	〇遊川大和

♢ダブルス♢

D3	●菅谷優作(法3・慶應)・石島丈慈(商2・慶應)	2{4-6,6-3,6-4,2-6,3-6}3	〇藤田大地・前田優

慶大のサーブから始まった第1セットは菅谷の鋭いサーブで第1ゲームを先取するものの、第3、第6ゲームでブレークされ相手のペースへ。第1セットは取られたものの、続く第2セットではコースをつくショットと落ち着いたブロックボレーにより着実に点を決め、このセットをとる。さらに第3セット、4―3からブレークされ、4-4に戻されるも、菅谷に再びサーブが回ると連続でデュースとなる激しい展開が続き、二回目のアドバンテージでは相手の体勢を崩す大きなスピンサーブで点を奪い5-4とリード。そのまま勢いに乗りこのセットも取った。しかしその後は相手にペースを掴まれ、惜しくも2セットを連取され敗北した。

D2	〇脇坂留衣(環4・興國)・眞田将吾(環2・四日市工業)	3{3-6,6-3,6-2,7-5}1	●栗山晃太朗・本山知苑

4年生と2年生という脇坂・眞田ペアは、様々なストロークを駆使し積極的にポイントを狙うも、早大の栗山・本山ペアのサーブやボレーに押され、第1セットを落とす。しかし、脇坂のサーブでのポイントや、眞田の積極的なポーチボレーでポイントを取り、第2セットを奪いそのまま第3セットも奪った。第4セット、取れば勝ちが決まるという緊張感の中、接戦を競り勝ち粘り強さが際立った慶大ペアが勝ち取った。

D1	●下村亮太朗(法4・慶應)・高木翼(総4・関西)	2{7-6(2),4-6,6-3,3-6,2-6}3	〇山口柚希 •森田皐介

主将と副将ペアで臨んだダブルス1は第1セットからタイブレークの死闘となった。慶大ペアは序盤から積極的に前に出て強烈なポーチボレーを決めるも、早大ペアも絶妙なロブで応戦。互いに譲らずサービスゲームを取り合う展開になった。そして、6-6の場面、下村の高速サーブで相手を圧倒するところから始まり、ペースは慶大へ。そのまま連続でポイントを取り、主将、副将の貫禄の粘り勝ちで第1セットを先取する。第2セットは中盤で1ブレークダウンのまま取られるも第3セットでは回転を工夫して複数の球種を操る森田への対策としてレシーブではダブルバック、サービスゲームでは下村のサーブの精度を最大限引き出すアイフォーメーションで相手を翻弄。このセットを取り再び優勢となる。しかしその後は相手にペースを掴まれ、うまくゲームを奪えず2セットを取られ敗退した。

下村・高木ペア

♢シングルス♢

S6	●安藤凱(法1・慶應)	0{2-6,0-6,0-6}3	〇遊川大和

慶大期待の新人である安藤は高校時代に関東ジュニアテニス選手権シングルス優勝、国民体育大会男女総合優勝、全日本ジュニアテニス選手権ベスト32など輝かしい戦績を残している。対する早大のルーキー遊川は高校時代に2023年度全日本ジュニアシングルス3位と大学テニス注目の選手である。第1ゲームから遊川のノビのあるフラットサーブと大跳躍のスピンサーブが安藤に襲い掛かるも、落ち着いたブロックリターンで何とか2ゲーム目をイーヴンに戻す。セットを通して長いラリーのポイントが目立ったが4ゲーム目で遊川が積極的に前に出始めると、このゲームのブレークを許した。その後、第2セットは長いラリーで打ち負けることが多くなり、ラフゲームで落としてしまう。第3セットでは第1、第2セットよりもゲーム奪取に迫る機会が多かった。前に出た相手をストレートで抜くプレーは複数のゲームで見られた。しかし、惜しくも勝ち切ることはできず敗北した。悔しい結果となったものの、最後まで戦い抜く姿は今後の成長を予感させるものとなった。

S5	〇脇坂留衣	3{6-4,6-3,6-4}0	●鈴木蒼平

前日のダブルスの勝利から勢いに乗りたい脇坂は1セットの1ゲーム目からサーブで針の穴を通すような精密性を見せ3連続でポイントをとる。しかし、1ゲーム目は取ったもののそこからは前日の疲労が出たのかネット際でのミスが目立った。1ブレークダウンのまま3-4と迎えた脇坂は長いラリーを粘り勝ち、4-4とブレークすることに成功した。このままの調子で逆転し、このセットをものにする。第2セットでは脇坂のテクニックが遺憾なく発揮された。逆を突くコースと角度のあるスライスでコートを支配し、相手の体力を奪う左右への揺さぶりにより着実に得点を重ねてセットを取る。第3セットでは4-3の場面、ブレークされて4-4に戻されるも、コーナーを突く深いショットで相手を崩しブレークした。勝負強い脇坂はそのまま相手にリードを許さず6-4でストレート勝ち。慶大の中で唯一2日連続で勝利を飾り、自信をつけた。

S4	〇菅谷優作	3{6-2,6-3,6-0}0	●森田皐介

ダブルスで敗退し、リベンジに燃える菅谷、第1セットから緩急をつけながらも力強いプレーで相手を翻弄し、3ゲームを連取する。ブレイクも2回成功と好調なスタートを切り、そのままペースを崩すことなく、2ブレイクアップで相手を圧倒する。第二セットは相手を追いかける展開となるが、第7ゲーム以降は強烈なリターンやスマッシュなど積極的なプレーで相手の反撃を許すことなく3ゲームを連取し第2セットも奪う。勢いついた菅谷はスライスなどで相手を翻弄。相手に追随を許さず、力強いプレーで相手を引き離し、6-0で締め、ストレートで勝利した。

圧巻の強さを見せた菅谷
S3	●眞田将吾	0{3-6,6(4)-7,3-6}3	〇栗山晃太朗

前日に脇坂とのダブルスで早大の栗山に勝利を収めた眞田はここでも流れに乗りたいとこであったがリベンジに闘志を燃やす栗山の180㎝の長身から振り下ろされる剛速球のサーブに苦しみ第1セットは3-6とペースは栗山へと思われたが、第2セットで眞田は驚異的な粘りを見せる。サービスゲームを確実にとることはもちろん、3-3と競った場面では今まではブロックリターンを駆使して安定してコートに入れる意識だったのがリターンエースを決めるなどその柔軟な対応力を見せ、ブレークすることに成功した。両者このセットは一歩も譲ることなくタイブレークへともつれ込んだ。タイブレークに入っても眞田は必死に食らいつき6-6(3-3)とイーヴンに戻すものの身長差を生かした相手の深めでトップスピンのかかったフォアに対し、浅い球が目立つようになり積極性のある前進からの手堅いブロックボレーで決められることが連続で続き、あと少しのとこで勝ち切れず、第2セットも落とす。第3セットも複数のゲームでデュースが続く白熱した展開が繰り広げられた。栗山のサービスゲームから始まるも、1-1,2-2,3-3と眞田は栗山にペースを渡さない。しかし、3-4の場面、栗山が仕掛ける。ドロップショットを多用し眞田をネット際に追い込む。時刻は2時をまわり、暑さで体力を奪われる。このゲームで眞田はブレークを許し、栗山は波に乗って、ストレート勝ちを収め、雪辱を果たした。

S2	〇高木翼	3{7-6(10),6-1,6-4}0	●木原啓汰

副将で4年生の高木は今大会でもっとも接戦となった第1セットを制することとなり、これが慶大優勝に大きく近づけるターニングポイントとなった。第1セットは互いの力が拮抗し、押され、押し返すシーソーゲームとなった。3-3の場面から高木はレーザービームのような超高速リターンとコーナーに吸い込まれるバックハンドでゲームを奪い1ブレークアップで迎える。ところが、木原は3-4の劣勢から自身も語るハードヒッターらしさのあるプレースタイルを存分に発揮し、高木もパワー負けするようなアプローチショットでわずかに甘くなった球ですら逃さないスキのないプレーを展開。一挙に3ゲーム連続で取り返し、5-6と逆転される。S3での早大、栗山の勝利により3勝4敗で王手をかけられた慶大。そんなプレッシャーがかかる中、高木は強靭なメンタルを見せつける。あと1ゲームでセットを失う場面、普通は慎重になる場面だが高木は気迫のサーブとより精度のあるコースを突くショットを積極的に狙っていき、6-6のイーヴンに戻し、悪い流れを断ち切る。タイブレークではどちらもシングルス2を背負う者たちとしての意地と意地のぶつかり合いであった。木原が力の入ったショットで決めると、高木はすかさず長いラリーを粘り勝ち、リードを許さない。再びシーソーゲームとなったタイブレークは最後に木原のフォアが慎重なラリーの末ネットにかかり、高木が死闘を制す。このまま勢いづいた高木は第2セット、第3セットを勝ち切り。昨年度の早慶戦優勝メンバーとしての意地とプライドをストレート勝ちという結果で見せつけた。

下村に襷を渡した高木
S1	〇下村亮太朗	3{7-6(5),6-1,6-4}0	●山口柚希

高木がつないで4勝4敗と迎えた早慶戦はついに最終戦にして優勝決定戦という劇的な展開となった。その優勝決定戦を任されたのはほかでもない慶大庭球部主将の下村亮太郎である。早大側も副主将の山口が決戦を務め、まさに総力戦の最後にふさわしい舞台が整った。第1セットは前日の両者が戦ったダブルスと同じく一進一退の攻防を見せた。下村は切れのある大きな弧を描くスピンサーブと超高速フラットで緩急を操り点を量産。2-3から一気に5-3へと逆転し、1ブレークアップでリードを守り切りセットを取り切りたいところであった。しかし、今度は山口が鋭いキックサーブで応戦し、一気に3ゲーム取り返し5-6と逆転。後がない下村は、5-6の場面、得意のバックハンドを1ポイント目でダウンザラインに決めると、慎重さも持ち合わせながら、ギアを上げていき山口を揺さぶる。そして6-6のタイブレークにもどした下村は調子のいいバックハンドを多用し相手の形勢を崩し、連続ポイントで優勝に近づく大きな第1セットを奪う。第2セットでも高速サーブとバックハンドのテンポの良い攻めがさえわたり、山口を終始圧倒した。第3セットになると1ゲーム目から山口は悪い流れを断ち切るスマッシュを連発し、再び第1セットのような拮抗した試合展開になる。しかし、下村は自分のプレースタイルを変えることなく、確実な球運びで相手のミスを誘う。2日間の疲労と猛暑の中、下村も山口もネット際でのミスが目立つようになる。そんな試合はついに5-4とマッチポイントに差し掛かる。早慶の全選手が一つのコートを囲み、二人を鼓舞する。最後のゲームは今年の早慶戦の激闘を表すかのような手に汗握る展開となった。3回連続のデュースが続き一つ一つのプレーにどよめきや歓声があがる。そして3回目のデュース、長いラリーの末山口のスライスはわずかにラインを外れ、判定はアウト。アドバンテージサーバーとなり最後は山口のバックがネットにかかりゲームセット。慶大男子の2年連続の優勝が決まった瞬間、下村は慶大の選手たちが集まる方に歓喜の雄たけびを上げ、勝利の喜びを分かち合った。

主将の矜持を見せつけた

(記事:岡澤侑祐、守屋勇輔、梅木陽咲、吹山航生、撮影:岡澤侑祐、塩田隆貴)

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