EUの対中関税、独経済相「罰でない」 中国は競争の結果と反論

[北京 22日 ロイター] - 中国を訪問中のドイツのハーベック経済・気候保護相は22日、中国政府高官に対し、欧州連合(EU)が発表した中国製品への関税は「罰」ではないと説明した。

中国商務省は21日、EUが緊張を高めれば「貿易戦争」を引き起こす可能性があると警告。EUの中国製電気自動車(EV)に対する反補助金調査で不正行為が行われたと非難した。

ハーベック氏は22日、気候変動対話の冒頭で「懲罰的な関税でないことを理解することが重要だ」と発言。米国、ブラジル、トルコなどは懲罰的関税を採用しているが、EUの手法は違うと述べた。

同氏は、欧州委員会は9カ月にわたり、中国企業が補助金によって不当な利益を得ていないかどうかを詳細に調査してきたと説明。EUの審査の結果もたらされる相殺関税措置は罰ではなく、中国政府が中国企業に与えた利点を相殺するためのものだと述べた。

「市場アクセスのための共通かつ平等な基準が達成されるべきだ」と語った。

中国の国家発展改革委員会トップの鄭柵潔主任と会談したハーベック氏は、EUの関税案は中国との競争条件を公平にするためのものだと述べた。

鄭氏はこれに対し、「われわれは中国企業の保護に全力を尽くす」と語った。

中国製EVへの関税は中国とEU双方に打撃を与えると主張し、ドイツがEU内で指導力を発揮して、「正しいことをする」ことを望むと述べた。

また中国の新エネルギー産業の発展は技術、市場、産業チェーンの総合的な優位性によるもので、「補助金や不公平な競争ではなく(公正な)競争の結果だ」と強調した。

<気候対話>

ハーベック氏は中国における再生可能エネルギーの拡大を称賛する一方で、二酸化炭素(CO2)排出量全体を見ることが重要だと指摘した。

鄭氏は「中国は石炭ベースのエネルギーミックスだ」と述べ、安全保障対策として石炭火力発電所を建設していると説明した。2023年においても中国の電力供給の60%近くを石炭が占めている。

ハーベック氏は「再生可能エネルギーがシステムに与える影響を考慮すると、石炭火力発電の大幅な拡大は別の方法で行うことができると確信している」と述べた。

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