スイッチ版は驚異的セールスに…販売本数で振り返る『マリオカート』その進化の歴史

『マリオカート8 デラックス』(C)Nintendo

大人も子どもも楽しめるカーレースゲームの真骨頂『マリオカート』シリーズ。ライバルを蹴散らして1位を目指すシンプルなルールながら、タイミングや立ち回りを考える必要があったり運に頼る部分があったりとゲーム性が深く、発売から32年たった現在でも世界中から絶大な支持を得ている。

2024年までに発売されたソフトは10本で、シリーズ累計販売本数は1億5000万本以上にも及ぶ。それぞれ対応ハードの特性を生かしたオリジナルシステムが組み込まれ、どのソフトで遊んでも楽しいというのが同シリーズの魅力だろう。今回は、そんな『マリオカート』の歴史と進化を振り返る。

■「スーパーファミコン」から始まったマリカの歴史

1992年、スーパーファミコン用ソフトとしてシリーズの原点となる『スーパーマリオカート』が発売された。これまでのカーレースゲームとは一味違った斬新なシステムはプレイヤーの心を掴みたちまち大ヒット。国内販売本数382万本を記録し、国内のSFCソフト販売本数1位という快挙を成し遂げた。

プレイヤー数は2人までで、1人プレイだと画面が上下2分割されてコースが表示される。また、『マリオカート』の肝でもあるドリフトや、ミニターボも裏技の位置付けですでに実装されていた。これがなかなかに難しく、使いこなす人がカッコよく見えたものだ。

1996年には、NINTENDO64用ソフトとして第2作『マリオカート64』が発売される。国内の販売本数は224万本で、同ハードの最多出荷本数1位を記録した。同作は3Dになったことで映像がダイナミックになり、コース数も増加。コインはなくなったが、「にせものアイテム」や「トゲゾーのこうら」といった新アイテムが加わった。

第3作目は、2001年発売のゲームボーイアドバンス用ソフト『マリオカートアドバンス』。シリーズ初の携帯ゲーム機向けとなった同作は、国内で約94万本の売上を記録。過去作に比べて減少しているが、GBAのミリオン超えが『ポケモン』3作を含む4本のみという状況を見れば、悪くない販売数だろう。

同作は初代作がベースとなっており、コインやリトライ制限も復活。新システムとしてフリーランやランクが実装され、隠し要素で初代コースが登場するというやり込み要素があった。

2003年に発売されたのはニンテンドー ゲームキューブの『マリオカート ダブルダッシュ!!』。こちらも『マリオカートアドバンス』同様にミリオンセラー達成はならずだったが、当時のハードセールスを考えれば、大健闘といえるかもしれない。

同作では二人乗りという新システムを実装しており、役割分担ができたことでチーム戦が楽しめるようになった。さらにキャラも増え、カートの選択も可能に。これにより、組み合わせ方、特定キャラで登場する「スペシャルアイテム」の使い方など戦略的要素が強まった。

■さらなる大ブレイクの契機は「ニンテンドーDS」

一度は低下した販売本数だが、2005年発売のニンテンドーDS用『マリオカートDS』では国内で402万本という記録を叩き出す。「DS」本体そのものが国内で654万台の売上を記録した人気ハードだったこともあり、シリーズトップの国内販売数を記録した。

同作は初のWi-Fi対応ソフトで、オンライン対戦が可能に(2014年5月にサービス終了)。対戦人数も8人に広がり、Wi-Fiがあればどこでも友だちとプレイできるようになった。その手軽さもまた販売数に繋がったのだろう。

さらに携帯ゲーム機向け初の3D画面になり、ミッションランモードなどを実装。勝利の切り札「直ドリ(直線ドリフト)」など、スピードを求めるプレイヤーが夢中になる要素もあった。

続く2008年発売のWii用ソフト『マリオカートWii』も好調で、国内で383万本の売上を記録。今作では、Wiiハンドルを傾けて曲がれるようになり臨場感が増した。操作もシンプルで、ライトユーザーが簡単に遊べたことも人気が爆発した理由の一つだろう。

さらに対戦人数は最大12人まで広がり、カートに加えてバイクも導入。Wiiは任天堂の据え置き機ゲームとして、スポーツゲームやパーティゲームなど「ファミリー向け」のタイトルがヒットしたハードでもある。大人数でワイワイプレイするのにピッタリだとして、『マリオカート』を購入した親世代も多いのではないだろうか。

2011年にはニンテンドー3DS用ソフトとして『マリオカート7』が発売。同作は、空を飛んだり水中を走ったりと自由度が大幅にアップ。カスタマイズ性も高まり、フレーム、タイヤ、グライダーを組み合わせたオリジナルカートの使用が可能となった。

直ドリなどのテクニカル面はないが、安定感のある楽しさからロングセラーになり、国内で308万本の売上を記録。発売から1か月で、売上100万本を突破し、3DS初のミリオンヒットとなったタイトルでもある。ただ、2024年4月で3DSのオンラインプレイサービスが終了したため、オンライン対戦はできなくなっている。

一方、国内販売本数143万本と伸びなやんだのが、WiiU用ソフト『マリオカート8』だった。この数字は、Wii U本体の販売台数が334万台と失速したことが大きな要因。ただ、ハードが伸び悩んだ中でも、ミリオンを超えたのはさすがといえる。

ゲーム内容も『マリオカート8』は変わらず良作。初のHD化でグラフィックが格段に向上し、重力を無視したアクロバット走行も実現した。さらに、今回はバギーが登場している。

■ゲーム史に残る記録を生み出した「Nintendo Switch」

最後は、とんでもない記録を生み出したNintendo Switch用ソフト『マリオカート8 デラックス』。2017年に発売された同作は、2024年の時点でなんと国内だけで811万本の売上本数を記録し、全世界では累計6197万本とダントツの売上本数をマーク。さらには、今なおゲームソフト売上ランキングの上位に位置している。

2022年に有料DLC「コース追加パス」がリリースされ、再び火が付いた「デラックス」人気。このDLCではこれまでの名コースをリメイクした全48コースが次々と追加され、2023年11月までには全96コースが遊べるように。それにより、長期間飽きることなく遊べる大ボリュームとなった。

さて、『デラックス』は『マリオカート8』の完全版で、主なシステムは同作をブラッシュアップしたもの。グラフィックは過去一に向上しており、全体的なキラキラ感には圧倒されてしまう。キャラ数も42名に増え、『スプラトゥーン』や『どうぶつの森』といった人気ゲームのキャラも登場した。

2〜3年ごとに新作が発売されてきた『マリオカート』だが、『デラックス』については発売から5年後に「追加パス」の形でボリュームアップしファンを満足させ続けている。こうした満足度の観点から、ずっと遊べる1本として、本体と同時購入する人も多いのではないだろうか。

2024年5月、任天堂社長の古川俊太郎氏がXで「今期中にSwitchの後継機種に関するアナウンスを行う」とポストしており、数年以内には新ハードがお目見えしそうだ。シリーズ最新作も、そのタイミングでリリースされることを期待したい。

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