尾上右近“親が歌舞伎俳優ではない役者同士”の尾上眞秀にラブコール「ここまで共感できる役者は僕しかいない」

尾上右近さんと尾上眞秀(まほろ)さんが“親子”に扮します。

【画像16枚】尾上右近の会見に“ゲスト”で呼び込まれた11歳の大器!尾上眞秀のはにかみショット

8月に大阪・国立文楽劇場、9月に東京・浅草公会堂で上演される、尾上右近さんの自主公演・第八回『研の會』の記者発表会が6月22日に都内で行われ、右近さんと眞秀さんが出席しました。

今年で八回目を迎える『研の會』は、未経験の名作に挑戦することが公演の眼目となっており、今回は『摂州合邦辻』と『連獅子』を演目にセレクト。

右近さんは『摂州~』で玉手御前を、そして、『連獅子』では親獅子の精に扮し、眞秀さんが仔獅子の精を演じます。

テーマは“親子愛” 『摂州合邦辻』と『連獅子』を上演

まずは右近さんが単独で登壇。「これだけ回数を重ねさせていただき、規模を拡大させていただけるのは本当にうれしい限り。『摂州~』は母親の物語、そして、『連獅子』は父親の物語、今回の自主公演は“親の愛”をテーマにお届けしたい」と紹介。

続けて「30代を迎え、自分がやりたいことをやらせていただくには責任が伴うと感じております。責任というと重く感じますが、僕はその責任を楽しく担いたいと思っていて、それは仕事に対する親心、子どもを育てることに近い。毎回言っていますけど、今回一番、気合いが入っています」と力を込めました。

演目に『連獅子』を選んだことに「僕はかつて4人(市川團十郎さん、市川猿之助さん、尾上松也さん、尾上菊之助さん)の親獅子に育てていただいた仔獅子でもあります。僕は歌舞伎俳優の親をもつ役者ではないので、4人の先輩方をはじめ、諸先輩に育てていただき、ここまで導いていただきました」と説明。

そして「これだけの先輩方と共演させていただけたことは僕にとって財産、宝物。30代で親獅子を演じるのは『まだ早い』と言われますが、自分のキャパの中でやっていたらキャパは広がらないので、オーバーすることでキャパを広げていきたい」。

さらに「自分が仔獅子で得たエッセンスを、今回は眞秀さんが勤めてくれる仔獅子に伝える役割に」と意気込み、「父親が歌舞伎役者ではない役者同士が勤める連獅子はなかなかない」と演目に込めた思いをアピールしました。

そして、日本を代表する現代美術家・横尾忠則さんが手がけた公演ポスターをお披露目。

右近さんは「カッコいいですよね。去年のポスターは僕らしさを大事に作ってくださった気持ちを感じましたが、今回は“横尾カラー”が強く出ている」と満足そうな表情を浮かべ、そこへ司会者が横尾さんから手紙が届いていることを報告。

「右近さん、お待たせいたしました。こんなのができちゃいました。これは僕が描いたのではなく、右近さんの熱意が描かせたのです。だから、このポスターは右近さんが描いたのです」というメッセージに、右近さんは「うれしいですね」と頬を緩ませました。

尾上眞秀 母・寺島しのぶのから「絶対にやったほうがいい」と助言され…

会見後半は、『連獅子』に出演する眞秀さんが加わり、「今、頑張って練習しているので、どうぞ観に来てください」と集まったメディアに向かい、はにかみながら挨拶。

司会者から『連獅子』の見どころを問われると「激しいところとゆっくりなところがあって、その切り替わりが面白い」と返答。

稽古はすでに衣装や鬘(かつら)を着けて行っているそうで、「すごく重いですが、ちょっとずつ慣れてきています」と手応えを話しました。

質疑応答に入ると、「(質問を)される立場なので、今日は質問をするほうにまわりたい」と、右近さんが記者に代わって眞秀さんへ質問を。

「尾上眞秀を襲名して1年経ちましたが、どんな感じですか?」と聞かれ、「安定してきました」といい、「違和感は?」の問いかけに「ないです」。

『連獅子』の大きな見どころである毛振りの練習も行っているといい、「ちょっとずつ毛の重さにも慣れてきました」と答えました。

そして、「自主公演をやる気はありますか?」という質問に「やってみたいです」と即答。すかさず、右近さんが「(僕を)出してください」と早すぎる立候補を。

これには眞秀くんも笑顔で応え、「どんな役者になりたい?」の声には「お客さんを楽しませる役者になりたい」と意欲をのぞかせました。

改めてメディアからの質問を受け付けることになり、眞秀さんをキャスティングした経緯を聞かれた右近さんは「いつか『連獅子』を眞秀くんとやりたい。それならファイナルと決めている第十回で、と考えましたが、そのタイミングで声をかけると眞秀くんに身長を越されている可能性がある。親子の物語ですから、眞秀くんのタイミングも考えたときに今年しかないと思い、声をかけさせてもらいました」と説明。

続けて、「以前、眞秀くんから『連獅子』を見ると寂しくなったり、悔しくなったりするからあまり見ないと聞いて、その気持ちにここまで共感できる役者は僕しかいないだろうと、(眞秀さんの母である寺島)しのぶさんに相談したら『せひとも』と言ってくださった」と、歌舞伎俳優ではない父をもつ者同士が抱える感情についてのエピソードを回想しました。

そのとき、眞秀さんは寺島さんからどんな言葉があったのかを問われると、「絶対にここでやっておいたほうがいい」と助言されたことを明かしました。

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