この日の最高気温は32度。湿気と気温で茹だるような暑さの中、日吉グラウンドでは筑波大との熱戦が繰り広げられ、最後のホームゲームとなる今試合には大勢の観客が詰め寄せた。今日対戦した筑波大は、昨年度秋リーグにて敗戦した因縁の相手。先制点は許したもののそこから6連続トライを見せ大きくリードを広げた慶大だったが、そこから後半の残り20分で22点差を捲り上げられる。どうにか1点の優勢を保っていたが、ラストワンプレーで痛恨のペナルティ。筑波大のペナルティゴールがポストの真ん中を通過したと同時にノーサイドの笛が鳴り、43-45で大変悔しい結果となった。
2024年6月16日(日)関東大学春季交流大会 対筑波大学 @慶大日吉グラウンド
○慶大 43{26―14、17―31}45 筑波大●
関東大学春季交流大会 第4節慶應義塾大学 2024/6/16(日)12:00 K.O. 筑波大学前半 後半 前半 後半4 3 トライ(T) 2 43 1 コンバージョン(G) 2 40 0 ペナルティゴール(PG) 0 10 0 ドロップゴール(DG) 0 026 14 計 17 3143 合計 45前半12分 中山(T) 得点者 前半3分 浜浦(T)
慶應義塾大学# 氏名 身長(cm)/体重(kg) 学年学部 出身校1 成田 薫 181/104 経4 慶應2 中山 大暉 176/103 環4 桐蔭学園3 吉村 隆志 177/108 環4 本郷4 中矢 健太 183/105 総4 大阪桐蔭5 浅井 勇暉 188/107 総4 仙台6 中野 誠章 178/101 文1 桐蔭学園7 田沼 英哲 176/95 総4 國學院大学久我山8 冨永 万作 188/105 商4 仙台第三9 橋本 弾介 169/77 法3 慶應10 大川 竜輝 172/85 理3 慶應11 伊吹 央 176/81 経3 慶應12 今野 椋平 183/88 環3 桐蔭学園13 山本 大悟 174/84 環3 常翔学園14 渡邉 匠 170/82 商4 川越東15 小野澤 謙真 180/85 環1 静岡聖光学院
筑波大学# 氏名 身長(cm)/体重(kg) 学年学部 出身校1 小澤 一誠 171/101 医3 國學院久我山2 前川 陽来 168/96 体専3 尾道3 茨木 海斗 182/113 体専1 東福岡4 中森 真翔 190/93 体専1 桐蔭学園5 白丸 智乃祐 185/107 体専2 長崎北陽台6 茨木 颯 186/94 体専3 東福岡7 髙木 海斗 174/93 体専3 筑紫8 浜浦 幸太郎 170/92 体専1 中部大春日丘9 井上 達木 173/75 体専1 佐賀工業10 楢本 幹志朗 177/84 体専3 東福岡11 大畑 亮太 174/80 体専4 東海大大阪仰星12 大内田 陽冬 176/91 医3 修猷館13 飯岡 建人 183/83 体専2 流経大柏14 中野 真太郎 169/75 体専4 福岡15 増山 将 177/83 体専2 東海大大阪仰星
慶應義塾大学 筑波大学103.5kg FW平均体重 98.6kg828kg FW合計体重 789kg180.8cm FW平均身長 178.2cm
筑波大のキックから試合が始まると、自陣で相手の猛攻を食い止めなければいけない展開が続いた。ディフェンスに徹した結果2回連続で反則を取られ、そこから起因して前半3分、相手の1年生選手にトライを決められる。トライ後の再開で慶大はやっと敵陣でプレーをするが、上手くボールをまわされ隙間ができると筑波大はすかさずキック。なんとこれが「50:22」(自陣から蹴り出した球が1バウンド以上してから敵陣22mラインを越えたところで外に出ること。高い精度が求められるキックで、これになると外に出たところからキックしたチームのラインアウトで始めることができ、大きく陣地を進めた上に有利な状態で進めることができる。)となり、自陣ゴールラインに近いところでの再開となってしまった。筑波大のラインアウトで再開後、モール勝負で相手の勢いに押され、このままトライを奪われてしまうかと思ったがパイルアップでモールが中断され助けられる。前半7分、ここで慶大はまさかの2連続ラインアウトでミスをする。オーバーボールの2回目のミスでボールを奪われると筑波大の勢いを崩せず、あっという間に2個目のトライを決められてしまう。
しかし前半12分、ハーフライン付近でマイボールのラインアウトから流れを作り、伊吹央(経3・慶應)が敵陣深くまで進めると、山本大悟(環3・常翔学園)、中野誠章(文1・桐蔭学園)とパスを繋げ、最後は主将・中山大暉(環4・桐蔭学園)がトライを決めた。1トライ差を追いかける慶大は21分、筑波大のキックを大川竜輝(理3・慶應)と中野誠章(文1・桐蔭学園)が2人がかりでチャージに行き成功すると、それを拾ったスクラムハーフ・橋本弾介(法3・慶應)から流れを作る。右サイド深くに今野が切り込むと、そこから上手くサイドを使い倒されながらもパスを繋げて最後は渡邉匠(商4・川越東)が仕留めた。
今野椋平(環3・桐蔭学園)のコンバージョンも決まり追いついた慶大だったが、まだまだ勢いは止まらない。28分には筑波大ボールでのスクラムからリスタートしボールをまわされると、田沼英哲(総4・國學院久我山)の強烈なタックルで相手を倒し中矢健太(総4・大阪桐蔭)がジャッカル。まさに筑波大を食らうかのような見事なジャッカルできっかけを作ると、その流れでラインアウトからモールを形成し、ぞろぞろとドライビング。インゴール直前まで慶大ペースで運転し、最後は中山が飛び込むようにしてトライを決めた。今野は5mラインより外側の厳しい角度からのコンバージョンを華麗に決めて見せ、2トライ差を追いかけていた慶大はついに逆転し、前半30分を経過した時点で21-14と、今度は1トライ差をつけ優勢となった。そしてその直後に組んだスクラムではついに筑波大がコラプシング。スクラムで力の強さを見せつけた慶大は前半も終了に近い37分、敵陣22mライン内でマイボールのラインアウトからモールを作ると、そのまま力で押し切りこれもまた主将・中山がトライ。チームとしては4トライ目を決めた。このコンバージョンでは今野のキックはポストの右を行き、惜しくもゴールとはならず、26-14と12点差をつけて前半を終えた。
後半、敵陣で攻めたラグビーを続ける慶大は、22mラインを超えてからのスクラムで力の差を見せつけ度々相手の反則を誘い、少しずつ前進させていく。組み直すこと4回目のスクラムでようやく数的優位を作り出すと、左サイドで待つ今野、大川へと繋ぎ、最後は伊吹がダイビングトライを決めた。後半16分には右サイドのラインアウトからパスを繋げ、左サイドで冨永万作(商4・仙台第三)が左手でトライ。ここでなんと慶大は前半から含めて6連続トライとなり36-14と大差をつけた。そして19分にディフェンスの隙を突かれトライを奪われるが、23分、ゴールライン直前のラックから粘り勝って中矢がグラウンディング。今試合7個目のトライを決めた。小野澤のコンバージョンも決まり、43-21と2倍以上の点差をつけ余裕を見せた慶大だったが、とはいえまだ残り約17分ある。ここで筑波大が粘りを見せてきた。26分、右大外でラックが作られると、ディフェンスが手薄になった左側を軽いステップで越えられトライ。そして30分、33分と次々にトライを奪われ43-42まで迫られる。さらに気温が上がってきた日吉グラウンドで1点の優勢を必死に守る慶大だったが、筑波大も負けじと攻めてくる。残り時間をほとんど自陣でプレーする危ない展開が続き、そしてラストワンプレーとなったその時、悲劇は起きた。自陣で相手のゲインを強固なディフェンスで止める中、慶大は痛恨のペナルティ。1人がタックルで倒した上半身にほぼ抱き合う形で入った接触がハイタックルとみなされ、ミスとはなかなか言い難いペナルティであったが、不運にも戻された場所は自陣ゴールポストのほぼ正面。筑波大のペナルティゴールは真ん中に決まり、43-45で因縁の相手筑波大に苦杯を喫した。
(写真・取材:島森沙奈美、岩切太志、中村米我 記事:宇田川志乃)
以下、選手インタビュー
中山主将
ーー今日の試合を振り返っていかがでしたか
春のターゲットにしてきた筑波大学に逆転負けをしてしまい、非常に悔しく思います。
ですが、アタックやセットプレー等、通用する部分が多くあり、収穫が多い試合だったと思います。
ーー春季大会最終戦に向けて意気込みをお願いします
今週の大東文化大学に勝利し、春季大会Bリーグで優勝できるよう頑張ります。