妻の「虚飾にまみれた」SNSをやめさせたい…“ごく普通”の会社員男性が知ってしまった嘘の日常

三田寛子さんがSNSに自身の下着コレクションを投稿したところ炎上する騒ぎに。一般的にも、夫婦にとってパートナーのSNSは「要らぬトラブルを招く」可能性があるやっかいな存在なのかもしれない。

春に「2年ぶり4度目不倫」が話題となった歌舞伎役者・中村芝翫(しかん)さん(58歳)。 妻でタレントの三田寛子さん(58歳)とは別居中で、彼は別宅で愛人と同棲状態だといわれている。そこに三田さんが訪れて修羅場があったとも報じられた。 また、三田さんが毎日のように更新しているSNSも、芝翫さんとしては「要らぬトラブルを招くからやめてほしい」と言っていたとか。 最近では、三田さんがある日突然、下着のコレクションをアップしたことをきっかけに、夫の不倫問題と絡められて炎上する事態にもなった。 一般的にいっても、夫から見れば妻のSNSは自分のことを何か暴露されるのではないか、読んだ人があらぬことを想像するのではないか……などと気にかかるものなのかもしれない。

夫にとって、妻のSNSは気がかりな存在

「僕からみると、何のためのSNSなのかなと思うんです」 そう言うのはシュンジさん(45歳)だ。彼は「ごく普通の」サラリーマン、小学生のふたりの子がいて、生活は決して楽ではない。ローンを組んで中古マンションを購入、妻のカナさんは近くの工場でパート勤めをしている。 「これから子どもたちの学費がますますかかるようになる。子どものしたいことはさせてやりたい。たいしてない貯金を、それでも少し投資に回したりして、なんとか増やそうとしながら、ふだんは倹約の日々です」

妻の友人に聞いた“身に覚えのない”我が家の日常

1年ほど前、彼は会社近くで同世代の女性に声をかけられた。妻の友人のナオミさんだった。会ったのは新婚当時に数回だが、カナさんの話にナオミさんはよく登場する。 独身のキャリアウーマンで、「ひとりで自由に海外旅行したりして羨ましい生活よ」ということだったが、誘われてランチをともにしてみると、彼女がそれほど独身生活を謳歌しているわけではないことがわかったという。 「お父さんが亡くなってお母さんと同居を始めたのはいいけど、その直後にお母さんが病気になり、入院生活が長引いたら認知症になりかけているんだそうです。 今も同居しているけど、この先どうなるかわからないと不安そうでした。妻が言うほど彼女は自由ではなかった。人にはいろいろ事情がありますよね」 そのとき、ナオミさんから「お宅のほうがよっぽど幸せよ」と言われたそうだ。タワマンに住んで、優秀な子どもたちは中学受験をするんでしょ、お嬢さんはピアノやバレエを習ってるそうじゃない。 カナはアパレル関係でフリーのデザイナーとして頑張ってるって。そう言われて、シュンジさんは誰の話なのか戸惑った。

SNSで妻が発信していた「嘘の日常」

「いったいどこからの情報なのとナオミさんに聞くと、『カナのSNSよ。しょっちゅう幸せアピールしてるわよ』って。うちは中学受験なんて考えていないし、せめて高校までは公立に行ってもらわないと困る。 住んでいるのはかなり年季の入った中古マンションだよと答えると、『えー、かつてのグループでもカナがいちばんいい暮らしをしてるんじゃないのってLINEで盛り上がってたんだけど』」 早速、妻がハンドルネームでやっているというSNSを見てみたシュンジさん。 「びっくりしましたね。うちの近所にできたタワマンの前で、あたかもここが自宅というように写真を撮っているし、5年も前に僕の両親が上京してきたときにごちそうしてもらった高級中華料理の写真を、昨日行ったかのようにアップしてる。 しかも料理写真を1枚ずつ、別の日にちにアップしてるから、まるでその店の常連みたい(笑)。なぜここまで、誰に対して見栄を張っているのか解せませんでした」

「私はSNSなんてやってない」と妻

帰宅してから妻になにげなく、「あんまり嘘をついていると自分が苦しくなるだけじゃなんじゃない?」と言ってみた。妻は「何のこと?」としらばっくれた。 「SNSだけどさ、あんまり盛るのもどうかと思うよと言ったら、『私はSNSなんてやってない』と。顔は出してないけど、妻の靴が映っていたり、子どもの後ろ姿も見えていたりするわけですよ。 子どももいるし、今どきは物騒だからさと言うと、『やってないって言ってるでしょう』って。 その後、気になって妻のSNSを見ているんですが、相変わらず虚飾にまみれてるし、『今日は正社員にならないかと打診された。でもまだ子どもが小さいから考えてしまう。子どもたちにとって母はひとりだから』なんてポエムみたいなことも言ってる。 フォローしてる人たちにも『素敵。デザイナーとして正社員になるんですね』とか、『デキる人は会社が手放したがらないんだ』とか褒められてる。 確かに妻は独身時代、アパレル関係に勤めていましたがデザイナーではなかったはずだし、正社員にならないかと打診されたなんて嘘っぱち。精神的に大丈夫なのかなと心配になりました」 それを除けば、ふだんのカナさんは子ども思いのいい母親ではある。 SNSでストレス解消しているのかもしれないと思いつつも、こういった投稿が何か問題を引き起こすのではないかと不安も感じているところだとシュンジさんは顔を曇らせた。

亀山 早苗プロフィール

明治大学文学部卒業。男女の人間模様を中心に20年以上にわたって取材を重ね、女性の生き方についての問題提起を続けている。恋愛や結婚・離婚、性の問題、貧困、ひきこもりなど幅広く執筆。趣味はくまモンの追っかけ、落語、歌舞伎など古典芸能鑑賞。 (文:亀山 早苗(フリーライター))

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