魅力を広げる杏のオープンなノリと好奇心に基づく行動力【今週グサッときた名言珍言】

杏(C)日刊ゲンダイ

【今週グサッときた名言珍言】

「まだノリで生きてますね」
(杏/フジテレビ系「だれかtoなかい」6月9日放送)

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2022年8月、突如3人の子供たちとともにパリで居を構え、日本とフランスとの2拠点生活を始めた俳優の杏(38)。パリは18~19歳の頃から、モデルの仕事やそのオーディションで何度も往復し、地理も知っていたし、知人もいたことから決めたという。だが、フランス語は相手が言っている内容がなんとなくわかる程度で、ちゃんとしゃべれるわけではない。そんな状況にもかかわらず、新生活を始めた自分を評して語った言葉を今週は取り上げたい。

番組では、会いたい人物としてロバートの秋山竜次を指名。日本についての情報源はネットラジオとユーチューブで、中でも「エンターテインメント成分」の大半は秋山から得ており、大好きなのだという。

ただ、俳優が番組で芸人好きを公言しても、実際には何度か見て面白いと思った程度だったりすることが少なくない。しかし、杏は彼のひとつひとつの話題に対し、マニアックな情報を補足したり、コアなファンしか聴かないようなラジオを聴いていたりする。秋山言うところの「HAF」=ハードアキヤマファンなのだ。

そんなところからも好奇心旺盛でオープンな性格なのがよくわかる。そのオープンさで、パリの自宅には綾瀬はるか、黒島結菜、戸田恵子ら俳優たちがフランスに来ると招き入れた。それどころか、キックボクサー・武尊がフランスで試合をした際、応援に来た彼の両親のホテルが取れていないことを人づてに聞いた杏は、見ず知らずにもかかわらず自宅に泊まってもらったという。

「とにかくいろんなことにたくさん手を伸ばしつつ、好奇心のおもむくままに挑戦してきました」(小学館「Precious.jp」24年6月7日)と言うように、スペインでジグソーパズルの世界大会が開かれていると聞けば参加し、フランスの地下鉄の構内で演奏できる「メトロミュージシャン」のオーディションを受け、路上ミュージシャンのように歌ってもいる。フランスで生活し始めて「自分が2人に増えたような気がする」(日本テレビ系「アナザースカイ」24年6月8日)と語るのだ。

「いろいろな歴史本を読んでいると、人生なんていつ終わるかわからないなって。だから人に迷惑をかけない範囲でやりたいことは実現したい」(集英社「LEE」23年11月22日)という行動力とオープンなノリが杏の魅力を広げている。

(てれびのスキマ 戸部田誠/ライタ―)

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