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列島に梅雨入りの便りが届き始めた。この季節になると気になるのは、やはり自宅の水回りにできるカビ汚れ。熱エネルギー機器「リンナイ」がアンケートしたところ、9割の人が「浴室」のカビに悩んでいることが分かった。ゴムパッキンに入り込んだしつこい黒カビは少々のことでは取れない。では、どうする?
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アンケートでは、カビ汚れの気になる場所として「浴室」と答えた人が92%。次いで「エアコン」が43%で多かった。
浴室でも、特にカビが生えるイメージが強い場所は「ゴムパッキン」。隙間を埋めるシリコーンなどのシーリング材に黒カビが入り込んでいるというわけだ。
そのパッキンの黒カビだが、実に半数の人が「落ちない」と思い込んでいる。とはいえ、落ちなかったのは、これまでのやり方が間違っていた可能性がある。
千葉大学真菌医学研究センターの矢口貴志准教授がこう言う。
「汚れが落ちないからといって、硬いブラシでこすらないようにしてください。壁、床、目地、パッキンに細かい傷がついてしまい、そこにカビが入り込んで、次からカビが落ちにくくなります。カビ汚れ専用洗剤を使用してもカビ汚れが落ち切らない場合は、もう一度行いましょう。洗剤をかけた後にラップで覆い、洗剤の成分が浸透すれば、カビは落ちやすくなります」
ゴシゴシとブラシでこすっていたのが間違い
力任せにゴシゴシとブラシでこすっていたが、これが間違い。ガンコな汚れには2度、3度と洗剤をかけるのが効果的なようだ。さらに、洗剤をかけた後にラップをかぶせれば、洗剤が垂れずに黒カビに長くとどまってくれる。
さっそく実践してみた。市販のカビ取り剤を浴槽の黒カビが目立つ場所に塗布。すぐにラップを張ってジェルをつけ置きにする。
そのまま放置して待つこと30分。使用法通り、水のシャワーで洗い流すが、まだまだ不十分。乾いたタオルで水滴を拭き、2度目。さらに同じ要領で3度目……。黒かった浴槽のふちからほぼカビがなくなった。しつこいカビは10~30分ほど放置してからシャワーで洗い流すのがコツだ。お湯のシャワーでも効果は同じだが、どうしてもお湯だと次亜塩素酸ナトリウムのツンとした臭いが強くなる。
パッキン以外にも、タイルの目地、窓枠、床も同じ要領でいい。
電気代40円で正しいカビ対策
風呂場で見かける黒カビ(クラドスポリウム)は、喘息などのアレルゲンとしても問題あり。「湿度60%以上」「温度20~30度」「栄養分」の3つが揃うと発生しやすくなる。ならば、この3つを完全にシャットアウトすればいいのだが、梅雨どきに湿度を60%以下にしたり、温度を20度以下にするのは現実的ではない。となれば、カビの大好物である皮脂、せっけんカス、湯垢などを取り除く方が手っ取り早い。
浴槽の残り湯は入浴後すぐに排水。熱いシャワーでせっけんカスや皮脂を洗い流し、水垢となる水分をバスタオルなどで拭き取るといい。
掃除をした後、換気扇を回すだけでは△だ。
「換気扇を回すのが一般的ですが、湿気を排気するだけなのでしっかり乾かすためには時間がかかります。乾燥しきらなければ、カビは生えてきてしまいます。浴室乾燥機の乾燥機能は『換気+温風』のため、すばやく湿気が取り除かれ、カビ対策にも有効です」(矢口准教授)
浴室の換気扇を24時間つけっ放しの電気料金は月約290~446円(ドコモでんき調べ)。一方、浴室乾燥機の1時間あたりの料金は38.75円(同)だ。電気料金はこの計算時よりさらに高くなっているが、梅雨時期のコストと考えていいのかもしれない。
■それでも黒ずみが取れなかったら…最終手段
パッキン(コーキング)の奥までカビが入り込んでしまうと落としにくくなるので、DIYが得意な人なら自分で補修してしまう手もある。そもそも水回りのコーキングの寿命は10年ほどだ。
カッターで古くなったパッキンに切り込みを入れ、手ではがして新しいパッキンを手作りする。
ホームセンターで用意した材料は、シリコーン系シーリング材(500~1000円ほど)。チューブに入ったペースト状のもので、注入後は1時間ほどでゴム状に固まる。ここでひとつポイントは浴室は湿度が高いので防カビ剤入りを選ぶこと。また、シーリング材を注入する前に、よくくっつくようにプライマー(下塗り塗料)も購入。こちらは500円ほどからだ。
さらに、コーキング材がヘンな所に漏れないようにするマスキングテープ(300円~)、プライマーを塗る刷毛(300円ほど)もあると便利。コーキング用のヘラもあるが、家庭用の作業なら指でやってもいい。
業者に頼めば数万円かかる補修だが、材料費2000円程度のDIYで真っ白なパッキンに生まれ変わる。
浴室ドアの開けっ放しは逆効果
①入浴後は浴室のドアを開けておく
(答え=× 正解率27%)入浴後は浴室ドアを開けておくと早く乾燥すると思っている人が多いが、かえって湿った空気が中に入り込む。アンケートでは、浴室の乾燥具合について「浴室全体が乾燥するまで」という正しい回答をした者は約2割にとどまった。
②重曹はカビに効く?
(答え=× 正解率42%)重曹には殺菌・除菌の効果がないため、次亜塩素酸ナトリウムが配合されたカビ取り専用洗剤を使用する。
③パッキンのカビはスポンジでこする?
(答え=× 正解率67%)スポンジなどでこすりすぎると、細かい傷ができ、カビの菌糸がパッキンの奥深くに入り込んでしまい、逆効果になる。
④浴室のカビ掃除は天井から?
(答え=〇 正解率73%)天井のカビ汚れを放置すると、浴室全体にカビの胞子が降り注ぐことに。モップにカビ汚れ用洗剤を染み込ませて拭き、その後に水拭きする。煙タイプの防カビ剤を清掃後に使用すればさらにベスト。
⑤パッキンのカビ汚れは落ちない?
(答え=× 正解率50%)一度であきらめず、繰り返すことで落とせる場合がある。ただし、長期間放置してカビ汚れが落ちなくなってしまった場合はパッキンを取り替えるしかない。