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「10年ひと昔」とはよく言うが、およそ10年前のクルマは環境や安全を重視する傾向が強まっていた。そんな時代のニューモデル試乗記を当時の記事と写真で紹介していこう。今回は、フォルクスワーゲン CCだ。
フォルクスワーゲン CC(2012年:マイナーチェンジ)
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フォルクスワーゲンの4ドアクーペ、パサート CCがビッグマイナーチェンジされた。車名からは「パサート」が取れて、単に「CC」となった。日本ではフラッグシップモデルとして、最近注目を浴びているインポート4ドアクーペ市場に再挑戦する。
2008年に登場したパサートCCは、今をときめく(編集部註:2012年現在)4ドアクーペの先駆けとなった1台だ。今回の意匠変更を機にパサートから独立し、単に「CC」という車名となったが、ちなみにCCとは、「コンフォート クーペ」という意味だという。フォルクスワーゲンにはフェートンという大型サルーンも存在するが、未導入の日本ではこのCCが事実上のフラッグシップモデルとなる。
ボディサイズはパサートCCとほぼ変わりなく、実はドアパネルやルーフ、前後フェンダーも共通なのだが、そうとは思えないほど見た目の印象は変わっている。最近のフォルクスワーゲン車に共通する水平基調のデザインを前後に採用。全身のシルエットは心なしか線の細さをあえて薄れさせたように目には映るが、持ち前の流麗さは損なわれておらず、そこに押し出しの強さが加わったようにも感じられる。
インテリアは従来の水平基調のインパネを継承しているものの、ナッパレザーのシートなど上質な素材を用いたことで、全体的に高級感が増している。なお、乗車定員は5名となっている。
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ダウンサイジングによる物足りなさは感じない
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日本仕様からV6や4WDの設定がなくなり、2Lから1.8LにダウンサイジングしたTSIエンジンに7速DSGを組み合わせたFFモデルのみとなった。フラッグシップとしては少し寂しい気もするところだが、パサートが現状1.4Lのみであることや、競合車との関係を考えると納得はできる。
2L時代に比べるとパワースペックも落ち込んでいるものの、実際にドライブすると、1500rpmという低回転から幅広い回転域で最大トルクを発し続ける特性により物足りなさは感じない。加えて、静粛性が抜群に高いことも印象的だった。
また、CCでは足まわりも軽量化をはじめ改良されている上、パサートにはない電動調整式ダンパーが標準装備される。おかげで乗り心地はきわめて快適に仕上がっており、しなやかに路面を捉え、姿勢変化も小さく、いたってフラットなライド感を提供してくれる。
25万円高の「テクノロジーパッケージ」を選ぶと、アクティブクルーズコントロール、プリクラッシュブレーキ、レーンチェンジおよびレーンキープのアシストシステムが追加されるが、一連の制御も非常に緻密で完成度が高い。車線を逸脱しそうになるとステアリングがグッと本来の位置に戻してくれる。
この価格帯に数ある選択肢の中で、これほど才色兼備なモデルは他に思い当たらない。フォルクスワーゲン CC、ちょっと気になる1台だ。
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●全長×全幅×全高:4815×1855×1425mm
●ホイールベース:2710mm
●車両重量:1540kg
●エンジン:直4 DOHCターボ
●総排気量:1798cc
●最高出力:118kW(160ps)/4500-6200rpm
●最大トルク:250Nm(25.5㎏m)/1500ー4500rpm
●トランスミッション:7速DCT
●駆動方式:横置きFF
●燃料・タンク容量:プレミアム・70L
●JC08モード燃費:13.4km/L
●タイヤサイズ:235/40R18
●当時の車両価格(税込):499万円