道悪必至ならドウデュースは”相手筆頭”でいい!? 18年ぶりの京都開催&タフな馬場を攻略できる2騎【宝塚記念】

6月23日、上半期の総決算である宝塚記念(GⅠ、京都・芝2200m)が行なわれる。

今年は阪神競馬場が改修工事に入っているため、ディープインパクトが優勝した2006年以来の京都開催になるイレギュラーさがあるうえ、週末に天気が大きく崩れる見込みであるのは気になるところ。京都地方は22日の午後から降り始め、レース当日は大雨になるとの予報が出ている。気温は両日とも最高30度まで上がるものの、切れ目なく降り続くとなると、いかに水はけが良くて乾きやすい京都の馬場でも悪化は避けられまい。「重」になるのは当然として、雨足が強ければ「不良」まで悪くなるケースを考慮すべきだろう。
そこで悩ましいのは、単勝1番人気に推されるであろうドウデュース(牡5歳/栗東・友道康夫厩舎)をどう評価するかである。

朝日杯フューチュチティステークス、日本ダービー、有馬記念と、GⅠレース3勝という実績は他を圧倒する。しかし、初の京都コースに加えて、国内での出走はすべて良馬場で、道悪の経験は海外でのみ。2022年秋のフランス遠征では、ニエル賞(GⅡ)、凱旋門賞(GⅠ)ともに馬場状態は「重」で、結果はそれぞれ4着、19着に終わっている。

ロンシャン競馬場の「重」と、中央屈指の馬場状態の良さを誇る京都競馬場を同列に比較はできないし、友道調教師は「こなせると思う」とコメントしている。とはいえ、ドウデュースが他馬と比べて道悪が上手いと思うかと問われれば、そうは考えづらいと答えざるを得ない。

今回は実績の高さを認めつつも、馬場状態を鑑みてドウデュースは「相手筆頭」までの評価にとどめたい。 ここで主軸に抜擢したい馬が2頭いる。京都実績、重馬場実績がともに〔2・0・0・0〕という、今年の宝塚記念に打ってつけのプロフィールを持つプラダリア(牡5歳/栗東・池添学厩舎)と、春の天皇賞(GⅠ、京都・芝3200m)で2着に食い込んだブローザホーン(牡5歳/栗東・吉岡辰弥厩舎)である。

プラダリアはここまで青葉賞、京都大賞典、京都記念とGⅡを3勝しているものの、GⅠでは日本ダービーでドウデュースの5着に入ったのが自己ベストと、実績面での物足りなさがあることは否定できない。しかし前記の京都記念では、次走の大阪杯(GⅠ、阪神・芝2000m)を制するベラジオオペラ(牡4歳/栗東・上村洋行厩舎)を下しているように、ポテンシャルの高さはGⅠ級の水準にあると見る。これに京都コース、道悪というフォローの風をプラスすると、同世代のトップホースに一太刀浴びせるシーンがあっても驚けない。しかも父親は2006年、京都開催の本レースを勝ったディープインパクトである。

ブローザホーンは出世まで時間を要したが、今年1月の日経新春杯(GⅡ、京都・芝2400m)で重賞を初制覇。阪神大賞典(GⅡ、阪神・芝3000m)を3着したのち、前走の天皇賞(春)ではテーオーロイヤルの2着に食い込んでトップクラスの仲間入りを果たした。こちらも京都コースは〔2・1・0・1〕と得意にしており、洋芝の札幌日経オープン(L、札幌・芝2600m)で2着に6馬身差をつける圧勝を飾っているように、タフな馬場状態は苦にしない。距離に目を向けると、2000mでも勝ってはいるが、2200~3200mという長い距離での好成績が目立つように、持ち前のスタミナが活きるであろう今年のコンディションは、きっと彼にフィットするはずだ。
タフな宝塚記念に向いたこの2頭を軸にピックアップしたら、あとは幅広く相手へ流したいところ。

前述のドウデュースを筆頭に、大阪杯の覇者で先行力があるベラジオオペラ。天皇賞(春)で3着に食い込んで衰えぬタフネスぶりを再アピールしたディープボンド(牡7歳/栗東・大久保龍志厩舎)、昨年の天皇賞(春)勝ち馬で、宝塚記念でも3着に入っているジャスティンパレス(牡5歳/栗東・杉山晴紀厩舎)までを本線と評価する。

さらに好配当を望むなら、狙いを広げてみる手もある。

日経賞(GⅡ、中山・芝2500m)と58.5kgのハンデで臨んだ目黒記念(GⅡ、東京・2500m)を連勝しているシュトルーヴェ(せん5歳/美浦・堀宣行厩舎)。大阪杯でベラジオオペラにクビ差まで迫ったローシャムパーク(牡5歳/美浦・田中博康厩舎)。道悪での好走例が少なくない牝馬からは、大阪杯でローシャムパークとはハナ差の3着に食い込んだルージュエヴァイユ(牝5歳/美浦・黒岩陽一厩舎)。なかでも注意したいのが、豪州の名手ダミアン・レーン騎手がこの週だけ短期免許を取得して参戦するシュトルーヴェだろう。レーン騎手は2019年、リスグラシューで本レースを制した経験の持ち主であり、その剛腕は侮れない。

文●三好達彦

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