景況判断「下降」超幅縮小 山口財務事務所の企業景気調査

財務省山口財務事務所(TEL083-922-2190)はこのほど、四半期ごとに実施している「法人企業景気予測調査」の結果をまとめた。調査時点は5月15日で、今期(4~6月)の現状、翌期(7~9月)の見通し、翌々期(9~12月)の見通しについて山口県内115社に聞き、114社から回答が寄せられた。内訳は、製造業が44社(38.6%)で、非製造業が70社(61.4%)。企業規模別に見ると、大企業(資本金10億円以上)が27社(23.7%)、中堅企業(同1億円以上10億円未満)が30社(26.3%)、中小企業(同1000万円以上1億円未満)が57社(50.0%)だ。

 

 まず、今期の「景況判断」が、前期に比べ「上昇」したと答えた企業は14.0%で、「下降」と回答したのは19.3%。BSI(「上昇」と答えた企業割合から「下降」と答えた企業割合を引いた景況判断指数=ビジネス・サーベイ・インデックス)はマイナス5.3ポイントで、前期(1~3月期)のマイナス15.7ポイントから「下降」超幅が縮小した。

 

 業種別に見ると、製造業は2.3ポイント(前期比プラス22.3)、非製造業はマイナス10.0ポイント(同プラス2.7)。規模別では、大企業はマイナス14.8ポイント(同プラス1.9)、中堅企業は10.0ポイント(同プラス19.1)、中小企業はマイナス8.8ポイント(同プラス8.9)だった。

 

 全体の先行きは、翌期は4.4ポイント、翌々期は10.5ポイントと「右肩上がり」で推移していく見通しだ。

 

 次に、2024年度の「売上高」(回答79社)は、前年度比4.9%の増収見込み。製造業は、カーボンニュートラル関連製品の販売増加(化学)や、海外における自動車向け製品販売増加(情報通信機械)などから、5.2%の増収見込み。一方非製造業は、仕入価格上昇に伴う商品価格の引き上げ(小売り)や、燃料価格上昇に伴う輸送運賃の引き上げ(運輸・郵便)により、3.5%の増収見込みとなっている。

 

 また、2024年度の「経常利益」(同77社)は、前年度比9.1%の減益見込み。製造業は、グループ会社からの配当収入の減少(化学)や、国内における電気自動車販売不振による関連製品販売減少(電気機械)などから、9.5%の減益込み。非製造業は、人件費等の負担増(建設、運輸・郵便)などにより、5.2%の減益見込みだ。

 

 そして、2024年度の「設備投資」(同90社)計画は、前年度比42.7%の増加見込み。製造業は、カーボンニュートラル関連投資(化学)や、電気自動車向け製品の需要増加を見通した生産能力増強投資(電気機械)などから、64.8%の増加見込み。非製造業は、前年度の大型投資の反動減(宿泊・飲食サービス、小売り)などで、26.6%の減少見込みだ。規模別に見ると、大企業(49.9%)と中堅企業(26.7%)は増加だが、中小企業(マイナス25.0%)は減少する見込み。

 

 「雇用」の現状BSI(同109社)は、31.2ポイントで、43期連続での「不足気味」超。翌期(24.8ポイント)、翌々期(27.5ポイント)も「不足気味」超は続く見通しだ。

 

 

回答企業からの声

 

 回答企業からは「新型コロナウイルス感染症が5類感染症に移行して以降、在宅勤務からオフィス勤務へ回帰する動きが強まっており、複写機向け製品の需要が増加している」(化学)、「半導体不足の緩和による自動車生産台数の回復に伴い、自動車向け製品の需要が増加している」(その他製造)、「木材などの仕入価格や運送コストが上昇しているものの製品価格への転嫁は一部にとどまり、収益を圧迫している」(木材・木製品)、「春の大型連休は天候に恵まれたことで人の動きが活発になり、飲食店への来店客数が増加した」(宿泊・飲食サービス)、「海外メディアに取り上げられたことで山口市への注目度が高まり、県外からの観光バスツアーの予約が増加している」(運輸・郵便)、「賃上げの実施により人件費の負担が増加しているほか、光熱費などの負担も増加しており、収益を圧迫している」(その他のサービス)などの声が聞かれた。

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