サッカー欧州選手権でとにかく目立つ中国企業の広告、その狙いとは―中国で分析記事

開催中のサッカーのUEFA欧州選手権では、中国企業の広告が目立つ。主要スポンサー13社のうち、BYD、アリペイ、アリエクスプレス、ハイセンス、vivoの5社が中国企業だ。

開催中のサッカーUEFA欧州選手権では、中国企業の広告が目立つ。主要スポンサー13社のうち、BYD、アリペイ、アリエクスプレス、ハイセンス、vivoの5社が中国企業だ。それ以外にも、阿里巴巴集団(アリババグループ)のアリペイもスポンサーになっている。中国メディアの環球時報はドイツメディアの報道を引用して、UEFA欧州選手権絡みで広告を出す中国企業の思惑を分析する記事を発表した。以下は、その主要部分だ。

国際的なスポーツイベントでの中国企業の広告は目新しいものではない。すでに五輪大会を含めて、多くの大会で中国企業の広告が目立つ状態だ。しかし中国側は、今回のUEFA欧州選手権で広告を出すことについて、何を期待しているのだろうか。

第一は、中国企業が欧州市場に進出しようとしていることだ。フランスのパリに拠点を置くスケマ・ビジネススクールでスポーツ産業やスポーツと地政学の関係などを研究するサイモン・チャドウィック教授はまず、BYDを例として説明した。BYDは2023年に300万台以上の自動車を販売したが、その90%が中国国内での販売だった。BYDはこの状況を変えたいと考えている。同社の欧州自動車販売事業部の舒酉星(ミヒャエル・シュー)総経理は、「幅広い視聴者に私共を紹介した」と述べた。

チャドウィック教授はさらに、アリエクスプレスとアリペイの場合には、UEFAとの協力が成立したことでデータの安全性に関する懸念を軽減できると指摘した。つまり、中国企業はUEFAと協力することで、自らが責任を持つ信頼できるパートナーであることを示すことができるという。UEFAはパートナー企業の選定について、金銭面だけではなく、サービスや相互利益も極めて重要と強調している。

次に、中国には地政学上の実力を誇示したいとの考えがある。チャドウィック教授は、UEFA欧州選手権での広告は個々の企業が経済面での成功を狙っただけでなく、中国にとって今回の大会は、自らを国際社会のメンバーとしてアピールする機会になるとの見方を示した。チャドウィック教授はさらに、中国には自らの実力を示したいとの考えがあるので、中国企業が国際的なスポーツの大会に広告を出せば、その企業は中国国内の人々にも評価されることになると指摘した。

UEFA欧州選手権は試合の中国国内でのテレビ放送が大きな視聴率を獲得していることからも、中国のサッカーファンの強い関心が分かる。北京時間で午前3時からの試合を視聴した若い中国人も多かった。このような中国人は、中国企業にとって潜在的な顧客だ。チャドウィック教授は「UEFA欧州選手権に広告を出す中国企業は、中国人ファンに気に入られようとしている」との見方を示した。UEFA欧州選手権に広告を出す企業は、中国人ファンに向けて、自らが「中国以外でも重要な意義を持つ存在」であることを示すことを狙っている。すなわち、国際大会に広告を出す事は、中国国内で大きな名声を獲得することにつながるという。(翻訳・編集/如月隼人)

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