安全祈るオートバイ神社 水戸・吉田神社に建立 御神体は名車のエンジン 茨城

「オートバイ神社」を建立した吉田神社の滑川久美雄宮司=水戸市宮内町

ツーリングで各地を巡るライダーの安全などを祈る「オートバイ神社」が今月、茨城県水戸市宮内町の吉田神社境内に建立された。オートバイ愛好家の滑川久美雄宮司が発案した。本殿に祭られた御神体は往年の名車のエンジン。オートバイ神社を通して、地域活性化も図りたい考えだ。

オートバイ神社の御神体は、1970年代に世界市場を席巻した名車で、滑川宮司も高校時代に乗ったという「ホンダCB750K-1」のエンジン。石造りの本殿前後を強化ガラスで覆い、中に祭った御神体を見えるようにした。上部に設置した祠(ほこら)には、滑川宮司が所有した名車2台のメインキーも納めた。週末には、寄贈を受けたカワサキ製のオートバイを本殿横に並べ、訪れるライダーたちを出迎える計画だ。

滑川宮司などによると、オートバイは、80年代のバイクブーム時に乗っていた人々が子育てを終え、大人の趣味として楽しむ「リターンライダー」が増加したほか、コロナ禍で密を避ける移動手段として脚光が集まり、人気が再燃しているという。

滑川宮司は愛好家歴50年を超えるライダーの一人で、現在は排気量が異なる6台を所有。各地の神社を巡る「御刻印」集めなどの流行も踏まえ、オートバイ人気をさらに盛り上げようと神社建立を決めた。

吉田神社境内には、オートバイ神社の場所を示す案内看板も設置。由来などを記した掲示板も近く設置する。このほか、地域貢献の一環として、近隣の商店街も巻き込みながら神社周辺を周遊できる環境づくりも視野に入れる。

神社建立の最大の狙いはライダーたちの安全祈願。滑川宮司は「オートバイはちょっとしたけがでも嫌になるが、安全に乗ればいつまでも楽しめる。あちこち走り回るライダーたちの拠点にしてもらえれば」と期待を寄せる。

8月19日の「バイクの日」前後には、同神社で愛好家の安全祈願やオートバイのおはらいをした後に、参加者でツーリングに出かけるイベントも企画中だ。

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