東京駅に新郎新婦大集結がXで沸騰 「東京駅フォトウェディング」が大人気の理由は“季節を問わない鉄板力”

東京駅・丸の内駅舎を背景にしたウエディングフォトが大人気 ※写真は株式会社デコルテ提供

コロナ禍が明け、結婚式の開催が復活しつつあるが、20代では「結婚式を挙げない」人が増加。式は挙げずとも、写真(フォトウェディング)のみ撮影するという人たちも多いというが、なかでもそのスポットにこだわる層が拡大しているようだ。

マイナビウェディング「2023年 結婚・結婚式の実態調査」によると、2022年7月から23年6月までに結婚した20~49歳男女のうち「結婚式を行なった」割合は45.3%。これは前年と比べると0.7pt減と“ほぼ横ばい”だが、20代で増加幅が大きかったのは「結婚式を挙げていない・挙げる予定はない」で16.4%(前年比+4.5pt)、次いで「写真のみ(フォトウェディング)実施済み」が13.6%(前年比+3.8pt)だったという。

「フォトウェディングはかなり注目を集めていますよね。24年5月には、“奥まで全部これ”として、東京駅・丸の内駅舎前の広場にウェディングフォトの撮影を待つ新郎新婦がずらりと並んだ風景をとらえた画像がX(旧ツイッター)に投稿されると、2400万回以上表示され大バズリ。

X上ではなぜ結婚記念に東京駅なのか、また“遠距離恋愛だったのかな”“鉄道ファン?”など、どういう人たちが撮っているのかといった話題でもちきりとなりました」(WEBライター)

国指定重要文化財である東京駅・丸の内駅舎は、ドーム型の屋根が特徴的な赤レンガ造りが美しく、人気の観光スポットだ。ウェディングフォトスポットとしての人気は屋内で密になれないコロナ禍に注目を集めたようだが、いったいいつ頃から撮影されるようになってきたのか。

■東京駅のウェディングフォト人気と“インスタ映え”がシンクロ

ウエディングフォトの撮影を待つ新郎新婦で長蛇の列となる東京駅・丸の内駅舎前。撮影場所として大人気となった背景にはどの様な事情があるのか。弊サイトは、ウェディングフォト事業を手がけ、東京駅でのロケーションプランも用意している株式会社デコルテに話を聞いた。

同社広報担当者によれば、結婚式のスタイルが多様化するなか、挙式をせずに結婚写真を記念に残す「フォトウェディング」の割合は近年増加の一途だという。

「数年前は、式に合わせて撮影する“前撮り”を行う新郎新婦様が多かったのですが、今は挙式をしない、またはまだ式をあげるか迷っている方が増えているため、前撮りとフォトウェディングとの割合が半々くらいになっています」(広報担当者)

写真撮影のニーズが強まるなか、「屋外での撮影も増えてきた」とのこと。背景には何があるのか。

「以前は、“結婚写真はスタジオで撮るもの”という認識の方が多かったように思います。現在もロケーション(屋外)かスタジオかでいえば、スタジオ撮影を利用される新郎新婦様のほうが多いのですが、この10年ほどで撮影場所やシチュエーションにこだわる層がかなり増えているのは事実。写真のインパクトやバリエーションを求める方は、ロケーション撮影を選ばれます」(前同)

では本題の「東京駅」について。東京駅でウェディングフォトを撮る流れはいつ頃から始まり、どういったポイントが支持されているのだろうか。

「東京駅で撮影されるようになったのは8年前ぐらいですね。その後ここ5年ほどで注目度がぐんと上がってきて、今はすっかり人気スポットになっています。

丸の内駅舎は夜景がすごく素敵で有名なので、日が暮れるのを狙った撮影がよく行なわれています。そして、そもそも東京駅は建物として季節を問わず絵になるスポット。桜や紅葉、新緑といったシーズンに左右されず、一年を通して安定した風景が期待できるので選ばれやすいという側面もあります」(同)

インスタグラムが日本に上陸したのはちょうど10年前の14年2月。「映え」というワードが流行語大賞にノミネートされたのは7年前の17年だから、ウェディングフォトにこだわる人々が登場し、さらに東京駅が注目され始めた時期と重なる。

撮影場所として東京駅を選ぶ人の傾向も変わってきた。当初は「東京駅×ウェディングフォト」という意外性が魅力だったが、人気が広まった結果、最近は「“間違いなく素敵な写真が撮れる場所”として選ばれている」と担当者がその肌感を語る。

■今後、ウェディングフォトに求められるもの

なお、ロケーションフォトを多く手がける同社では、「ここで撮影したい」という希望スポットがあり、その場所の撮影許可が下りれば全国どこでも対応可能。最近はより2人らしい個性を大事にするニーズも増えてきたという。

「2人で初めてデートに行った場所や思い出の場所、共通の趣味に関するものを記念として写真に残したいという方は多いですね。サウナが2人の趣味だから、サウナで撮影をしたいといったケースもありました。

また、渋谷のスクランブル交差点や原宿周辺の裏路地のような場所などといったストリート系、意外なところでは、神奈川県・三浦半島の城ヶ島などの絶景スポットが最近は人気です。あくまでも自分たちが主体となって場所を選ぶ。お2人らしさを大事にされる方が増えてきていて、これからもっとそういうニーズは増えてくるのではないかと思っています」(前出の株式会社デコルテの広報担当者)

スマホやSNSで写真を撮影し、記念日として記録するのも手軽になった現代、ウェディングフォトのあり方も変容しているということなのかもしれない。

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