勤続2年ですが退職予定です。3年に満たない場合は退職金が支給されないと聞いたことがありますが本当ですか?

退職金制度とは

退職金制度とは、勤続年数や業績などにより退職時に賃金が支払われる制度のことです。厚生労働省による令和5年就労条件総合調査によると、一定期間勤務しなければ支払われない企業が多く、半数近い企業が3年以上で支払うことにしている一方で、1年未満でも支払っている企業も12%ほど存在します。

ただし、退職金制度といっても、すべての会社で制度が整っているわけではありません。

厚生労働省の令和5年就労条件総合調査の概況によると、退職金制度を導入している企業は全体の74.9%です。平成30年の調査の80.5%から、5年で5.6ポイント減少しています。中でも宿泊業・飲食サービス業では、42.2%と半数以上の企業に退職金制度がありません。

勤務先に退職金制度があるのか、勤続何年から退職金を受け取れるのかといったことは、人事や総務担当者に聞く、もしくは就業規則・賃金規則で確認しましょう。

退職金の種類

退職金制度には、一度にまとめて受け取る「退職一時金制度」と分割して受け取る「退職年金制度」の2種類があります。この2つは、さらにそれぞれ企業独自のものと、外部機関を活用する方法に分かれています(表1)。

表1

※厚生労働省「令和5年就労条件総合調査の概況」を参考に筆者作成

ほとんどの企業では退職一時金制度を採用しており、退職年金制度を導入しているのは退職金制度のある企業のうち3割ほどです。

また、退職一時金制度と退職年金制度どちらも採用し、受給者が選択できるようになっている企業もあります。制度によって、退職時に手に入る額も変わってくるため、それぞれの特徴やメリット・デメリットを理解したうえで選択する必要があるでしょう。

退職金はいくらもらえる?

退職する場合、自己都合と会社都合とでは、支給される退職金の額に差があります。東京都産業労働局が行った中小企業の賃金・退職金事情(令和4年版)によると、自己都合・会社都合それぞれ早期退職した場合の退職金平均額は表2のようになります。

表2

※東京都産業労働局 中小企業の賃金・退職金事情(令和4年版)を基に筆者作成

退職金の計算方法は、企業やどの退職金制度を活用しているかなどによって異なります。詳しくは、勤務先の総務や人事担当者に確認しましょう。

なお、退職金を受け取る際には、所得税・復興特別所得税・住民税が徴収されます。通常は、勤務先で手続きをすることで源泉徴収にて税金の支払いが完了しますが、自身で確定申告する場合は、退職所得金額を記載しなければなりません。

退職金を何年目からもらえるかは会社によって異なる

退職金を勤続何年からもらえるかは、会社によって異なります。中には1年未満でも退職金が支給される会社もありますが、多くの会社では3年以上勤務する必要があるため、就業規則を確認してみましょう。

ただし、自己都合で退職する場合、会社都合の退職と比べ支払われる額が少なくなるため、注意が必要です。

退職金の支給がない会社や、老後に不安のある方などは、自身でNISAやiDeCo(イデコ、個人型確定拠出年金)など非課税投資制度も検討するとよいでしょう。

出典

厚生労働省 令和5年就労条件総合調査 就労条件総合調査の概況3退職給付(一時金・年金)制度(12~13ページ)
厚生労働省 政府統計の総合窓口(e-Stat)令和5年就労条件総合調査 退職給付(一時金・年金)制度 第32表退職事由、産業・企業規模、退職一時金の受給に必要な最低勤続年数階級別企業割合及び1企業平均最低勤続年数
東京都産業労働局 中小企業の賃金・退職金事情(令和4年版)Ⅲ 集 計 表 第8表-➀モデル退職金(調査産業計)(120ページ)
国税庁 退職金と税退職金にかかる税金

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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