手取り「16万円」の新卒ですが、通勤が大変で一人暮らしを検討中。家賃「5万円」だと生活は厳しいですか?

手取り16万円で「家賃5万円」は妥当?

国土交通省の「令和4年度 住宅市場動向調査報告書」によると、入居した住宅の家賃の平均月額は7万8069円とのことです。共益費の平均月額は4836円とされており、平均家賃と合わせると8万2905円となります。

ただし、この平均家賃は三大都市圏(首都圏・中京圏・近畿圏)の平均となるため、ほかの地方の家賃相場も含めると、全国の平均家賃は下がる可能性があるでしょう。

また一般的に、家賃は手取りの3分の1程度が理想的であるといわれています。手取り16万円の場合は5万3000円程度が理想的な家賃の目安となるため、家賃5万円であれば適正の範囲内であるといえるでしょう。

仮に手取り16万円で三大都市圏と同等の家賃の物件に住む場合は、目安の家賃よりも3万円程度オーバーしてしまうため、生活が苦しくなってしまう可能性も考えられます。

一人暮らしの生活費の目安はどれくらい?

総務省統計局の「家計調査 家計収支編(2022年)」によると、34歳以下の単身世帯における1ヶ月あたりの平均消費支出額は15万8198円であり、主な支出項目の平均は以下の通りです。

・食料:3万4385円
・住居:3万6676円
・光熱・水道:9272円
・家具・家事用品:3577円
・被服および履物:7643円
・保健医療:5348円
・交通・通信:2万84円
・教養娯楽:2万1908円
・その他の消費支出:1万9306円

同調査では家賃地代が3万6414円となっていて、家賃地代を除いた場合の消費支出は12万1784円です。これを踏まえて家賃5万円の物件に引っ越すとしたら、消費支出は17万1784円となり、手取り16万円では赤字になってしまうことが分かります。

手取り16万円で家賃5万円の物件に住むためには?

手取り16万円の新卒で家賃5万円の物件に住むとしたら、単身者の平均消費支出を基に収支を計算すると1万1784円の赤字になってしまいます。ただし、これはあくまで平均値ですから、自身の生活レベルでシミュレーションしてみることが大切です。

例えば「食料」の項目では支出が3万4385円になっていますが、これには「外食」の1万3488円が含まれます。外食を減らして自炊中心の生活にすることで、食費をおさえられるかもしれません。

「交通・通信」の項目は2万84円ですが、内訳を見ると自動車関係の支出が7266円となっており、自動車を持っていなければその分、支出額をおさえられます。また内訳では通信費は6063円となっていますが、スマホを格安SIMにするなどして、支出を少し減らせるかもしれません。

「教養娯楽」は2万1908円ですが、娯楽や趣味で利用しているサービスや頻度などを見直すこともできるでしょう。「水道光熱費」も、電気のつけっぱなしや水の流しっぱなしをなくすなど、地道な努力を積み重ねることで節約につなげられます。

自身の生活をシミュレーションしてみて、手取り16万円でもいくらか余裕を持って生活できるようでしたら、家賃5万円の物件に引っ越せるかもしれません。

手取り16万円で家賃5万円……平均消費支出だと1万1784円の赤字! 自身の生活をシミュレーションして検討しよう

新卒で手取り16万円の人が家賃5万円の物件で生活したい場合、平均的な消費支出を基に計算すると1万1784円の赤字になることが分かりました。ただし今回参照した消費支出額はあくまでも平均値であるため、自身の生活をシミュレーションして節約できる項目を探してみるとよいでしょう。

例えば、外食を減らして自炊中心の生活にしたり、車を持たない生活をしたりすることで、支出を減らせるかもしれません。スマホを格安SIMにしたり、娯楽・趣味にかける費用を見直したりもできるでしょう。

手取り額の範囲である程度の余裕を持って生活できそうであれば、家賃5万円の物件で一人暮らしを始められるかもしれません。

出典

国土交通省 令和4年度 住宅市場動向調査報告書 6.民間賃貸住宅に関する結果 6.4 家賃などに関する事項 6.4.2 家賃などの契約内容(243ページ)
総務省統計局 政府統計の総合窓口(e-Stat) 家計調査 家計収支編 単身世帯 詳細結果表 2022年 <用途分類>1世帯当たり1か月間の収入と支出 表番号2 男女,年齢階級別 単身世帯・勤労者世帯

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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