上海国際映画祭、日本映画界の若手が頭角現す

上海国際映画祭、日本映画界の若手が頭角現す

21日、上映会後のファンミーティングに参加する俳優の吉沢亮(左から2人目)と呉美保(オ・ミポ)監督(右から2人目)。(上海=新華社記者/許暁青)

 【新華社上海6月23日】中国上海市で開催された第26回上海国際映画祭で、日本の新作映画「ぼくが生きてる、ふたつの世界」のワールドプレミア上映会が行われ、主演の吉沢亮さんが出席した。

 同作品は今年のメインコンペティション部門にノミネートされた14作品中唯一の日本映画ということもあり、注目を集めた。耳が聞こえる息子、五十嵐大と聴覚に障害を持つ両親との微妙な人間関係を描いた作品で、息子が反抗して疎遠になるものの、最後は母子が分かり合う様子を描写しながら、一連の社会の状況についても考えさせる内容となっている。

上海国際映画祭、日本映画界の若手が頭角現す

21日、上映会後のファンミーティングで、中国の観客からの質問を聞く吉沢亮さん。(上海=新華社記者/許暁青)

 吉沢さんは上映会後の舞台あいさつで、自身が演じた「五十嵐大」を最も愛している役だと述べ、「聴覚障害者の家庭にいる健常者(CODA、コーダ)」という矛盾した、かつ特別な感情を持つ主人公を演じることは自分にとってチャレンジだったと振り返った。また、複雑な家庭環境に近づく努力をするとともに手話を2カ月間学んで少しずつ劇中に入り込んでいったこと、聴覚障害者との芝居の仕方を学べたことなどから、作品を通じて大きな収穫を得たと話した。

 同映画祭ではここ数年、山田洋次監督や岩井俊二監督といった映画祭の「常連」に加えて、日本の若手映画関係者が上映イベントやコンペティションに姿を見せることが多くなった。

上海国際映画祭、日本映画界の若手が頭角現す

21日、会場の外で岩井俊二監督のライブ動画を見ながらサインの順番を待つ中国のファン。(上海=新華社記者/許暁青)

 今年の映画祭の「日本映画週間」では「言えない秘密」「かくしごと」「夜明けのすべて」「52ヘルツのクジラたち」「翔んで埼玉~琵琶湖より愛をこめて~」の5作品が上映された。日本側の運営団体である日中映画祭実行委員会は5作品について「いずれも情熱に満ちており、さまざまな角度から日本の『今』を捉えている」と評した。

 1990年代生まれの吉沢さんのようにコンペティションのノミネート作品を引っ提げて映画祭にやって来る日本の若手俳優も増えている。以前、日本のドラマの撮影で中国東部の大型撮影所を訪れたことがあるという吉沢さんは、映画祭での中国の映画ファンの熱量に驚いたとした上で、今後上海でファンと交流する機会が増えることを期待しているとコメントした。

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21日、上映会後のファンミーティングで、呉美保(オ・ミポ)監督と記念撮影をする吉沢亮さあん(左)。(上海=新華社記者/許暁青)

 青春の息づかいに満ちた日本映画界の新顔による新作のほか、既存の大型SFアニメ作品も依然中国で人気のある日本作品のジャンルで、今年は「パプリカ」や「攻殻機動隊」などの4Kデジタルリマスター版の上映イベントのチケットが入手困難となるほどだった。(記者/許暁青、劉穎)

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21日、上映会後のキャスト・スタッフによる舞台あいさつで、記者の質問に答える吉沢亮さん(右)。(上海=新華社記者/許暁青)

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21日、上映会後のキャスト・スタッフによる舞台あいさつで、呉美保(オ・ミポ)監督と記念撮影をする吉沢亮さん(右)。(上海=新華社記者/許暁青)

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