梅雨時こそ窓掃除!家事のプロが教える、マンションで隣近所に迷惑をかけないベランダ掃除術

マンションやアパートなどは、ベランダでの水の使用が制限されているところもあり、掃除するにも放水して一気にきれいに! とはいかないのが現実。実は、小雨の多い梅雨の時期は、ベランダ掃除の絶好のタイミングです。

湿度が高いこの時期にこそやっておきたい、窓などベランダ周りの掃除術を、家事代行マッチングサービス「タスカジ」で活躍するmachamachaさんに教えていただきました。

梅雨の時期がベランダ掃除に適している理由

ベランダ掃除といえば、年末の寒い時期に行う“大掃除”をイメージします。それを梅雨の時期に行うメリットについて教えていただきました。

「小雨であれば、ベランダで水を使用して掃除をしても近隣への迷惑になりにくいことがもっとも大きなメリットと言えます。また、ゴミや埃は雨で水分を含むので、舞い上がりも抑えられます。泥汚れも水分を含み緩んでいるためこするだけで簡単に落ちやすく、水をたくさん使わなくても少しの力で掃除することができるんですよ」(タスカジ machamachaさん、以下同)

ただし、小雨の日であっても基本的なポイントは注意しましょう。

・近隣への配慮を忘れない
「マンションや集合住宅の場合は、梅雨の時期であっても洗濯物を干しているお部屋も想定されます。また、小雨が降っていたとしても、砂埃や汚れた水が近隣へ飛び散らないかなど配慮を心がけましょう」

・あらかじめ排水が機能しているかを確認する
「水を使って掃除をする前には、必ずベランダの排水口にコップ1杯程度の水を流し入れ、水はけできているかを確認する必要があります。排水機能が落ちている場合、汚れを取り除くだけで改善されるのか、改善されない場合は、漏水の危険性もあるため管理会社に連絡することをおすすめします」

・ベランダ掃除に適した道具を使う
「ベランダの床材にもさまざまな素材が使われています。防水ウレタンが塗布されている床材をデッキブラシなどでゴシゴシと磨いてしまうと、ウレタンが剥げてしまうなどトラブルになりかねません。使うアイテムに、使用してよい素材などが記載されているケースもあるため、事前に確認するとよいでしょう」

・熱中症には要注意
「梅雨とはいえ、夏に向かうこれからの季節は、ベランダに長時間いれば熱中症になる危険性もあります。こまめに水分を取りながら、ご自身の体調と相談しつつ掃除をしてください」

ベランダ掃除 -基本編-

ここからは、ベランダとベランダに接する窓とサッシの掃除方法を教えていただきます。

「ベランダの床は泥や埃が溜まりがちです。日ごろからほうきとちりとりで取り除けるゴミは掃除することを習慣にしましょう。いつでもゴミを捨てられるようにビニール袋をベランダ付近に用意するなど、ほうきをかけておける道具をベランダに準備しておくだけでも、掃除へのアクションがグッとラクになります。習慣化できるように工夫することは、掃除のハードルを下げるうえで、意外とあなどれません」

【用意する道具】

・スポンジブラシ
・ほうきとちりとり
・掃除用ブラシ
・ペットボトル
・排水口ネット
・ゴミ袋
・ビニール手袋
・雑巾(多めに用意するのがおすすめ)
・マスク
・バケツ

【掃除手順】

1.排水口の汚れを取り除き、排水口ネットでカバーする

「泥や枯れ葉などが詰まっている場合には取り除き、排水機能が整っていることを確認します。掃除をすることで発生する泥汚れや糸くずなどが排水口に落ちないように、水掃除をする前には排水口ネットで覆い、汚れが排水口に侵入することを防ぎます。注意点としては、掃除後には忘れずに排水口ネットを取り去ること。排水口ネットが排水口に落ちないように注意してください」

2.乾いた汚れは先に取り除く

「ほうきとちりとりを使い、乾いている汚れをあらかじめ掃除します。これらの汚れは、放置しておくと堆積して落としにくい汚れへと変化していきます。日頃からこまめに汚れを取り除いておくことで、グンと掃除がラクになります」

3.室外機やプランターの裏も入念に汚れを掃き出す

「室外機の裏や、プランターの底はとくに汚れがたまりやすい場所。放っておくと害虫の温床にもなりかねません。移動できるものは移動し、汚れを取り除くようにしましょう。洗濯の糸くずは狭い部分に残りやすくなります。狭い場所にも届き使いやすいコシのある細いブラシを使うと効率よく掃き出せます」

4.ベランダの手すりと腰壁を拭く

※屈む姿勢がとりにくい場合は、上下に拭いてもOK

「掃除をする場所は常に上から下へと行いましょう。乾いた雑巾で手すりを拭いたら、腰壁を拭きます。さらに、濡れた雑巾で同じ手順で拭き上げます。軽い汚れであればしっかりと水を絞り、ひどい汚れであれば水をたっぷりと含むのが雑巾に含む水分の目安。落としにくい汚れは一度ふやかしてから水拭きするのがポイントです。きれいに水拭きできたあとは、乾いた雑巾で水分を拭き上げるように乾拭きしましょう」

※「水」と表記していますが、ぬるま湯程度の方が汚れを落としやすくなります。

5.ベランダの床をスポンジブラシで軽く擦り洗いをする

「ベランダ全体はスポンジブラシで軽く擦るだけで汚れを落とすことができます。バケツにぬるま湯を用意して、スポンジ部分にぬるま湯を含ませながら掃除していきます。スポンジに汚れがついたらバケツのお湯ですすぎ、動作を切り返しながら全体を掃除していきます。スポンジブラシで汚れを落とした後は雑巾で拭き上げて仕上げましょう」

6.ベランダの床の細かい部分を掃除する

「スポンジブラシでは落としきれない細かな部分や、床と壁の間などは雑巾やブラシを使って入念に汚れを落としましょう。落とし切れない汚れには、少量のぬるま湯を注ぎながらブラシで擦り洗いをします。汚れが浮いたら雑巾で拭き取りましょう。ブラシは角にフィットする形状になっているものを選ぶと掃除がしやすいです。私は100円ショップのブラシを愛用しています。ベランダ掃除では道具がよく汚れます。雑巾やブラシなどは抵抗なく買い換えられるものを用意した方がストレスなく掃除できます」

7.最後に乾いた雑巾で拭き上げる

「水を使うとどうしても足跡などが目立ちます。気になる場合は、最後に乾いた布で拭き上げると、よりきれいになります。こうすることできれいを実感でき、掃除の達成感もアップしますね」

ベランダ掃除 -応用編- こびり付いた汚れがある場合

「だいたいの汚れは、上記の工程で落とすことができますが、汚れが固まってこびりついてしまうケースがあります。そんなときの対処法をお伝えします」

【用意する道具】

・中性洗剤(スプレータイプが便利)
・バススポンジ

【掃除手順】

汚れに洗剤を吹きかけ軽くこすり洗いする

「汚れた箇所にスプレータイプの中性洗剤をスプレーし、2〜3分程度おいて汚れを浮かせます。その後、スポンジで軽く擦るときれいに落とすことができます。スポンジで汚れを落としたら、しっかりと水分を絞った濡れた雑巾で拭けばOK。 なお、このときに使う中性洗剤は、泡立ちにくいものを選ぶと良いでしょう。なぜなら、界面活性剤の多い泡立つタイプを使うと洗い流すのに多くの水が必要になるためです」

窓と網戸の掃除術

「窓と網戸を掃除する場合は、順番が重要です。手順は以下の通り。この手順で行うことで、汚れ残りが少なく仕上げることができます」

1. 部屋の内側のガラス窓
2.部屋の外側の網戸
3.部屋の内側の網戸
4.部屋の外側のガラス窓

【用意する道具】

・アルカリ電解水
・ビニール手袋
・マスク
・濡れた雑巾
・乾いた雑巾
・バケツ

【掃除手順】

1.部屋の内側のガラス窓を掃除する

「しっかりと水分を絞った濡れた雑巾で、汚れが落ちているかを確認しながら拭き取っていきます。手垢がついている場合は、アルカリ電解水を吹きかけることでラクに落とすことができます。その後、乾いた雑巾で拭き上げてください」

2.部屋の外側の網戸→内側の網戸の順に掃除する

「濡れた雑巾で、網戸を横方向に拭き、次に縦方向に拭きましょう。網戸は横と縦に線が張られているので、一方向だけでは汚れを落とすことができません。次に、部屋の内側の網戸も同様に雑巾掛けをします」

3.部屋の外側のガラス窓を掃除する

「部屋の内側のガラス窓の雑巾がけ同様に行なっていきます。窓ガラスの掃除は、基本的には濡れた雑巾で汚れを落とした後に、乾いた雑巾で水分を拭き取ることと覚えておきましょう」

サッシの掃除術

「サッシ部分は乾いている状態と、濡れている状態で掃除の方法が異なります。状況に合わせて掃除方法を使い分けてください」

【用意する道具】

・ハンディモップ
・ペットボトル用ブラシ
・ペットボトル
・ビニール手袋
・充電式ハンディ掃除機
・濡れた雑巾
・マスク
・バケツ

【掃除手順】

・サッシが乾いている状態

「部屋の内側のフローリングの掃除の延長線上と捉えサッシ掃除を行います。ハンディモップなどで浮かせた汚れを掃除機で吸い取っていきます。ただし、濡れている汚れを吸うと掃除機が故障する原因になるため、注意してください」

・サッシが濡れている状態

「ペットボトルに水を蓄え、少量を出しながら先端のブラシで汚れを擦り上げていきます。そして最後に、ヘラに雑巾を巻いたものや手を用いてサッシのレールの隅や端などにたまった汚れや水を拭き取り完成です」

まだある、ベランダ掃除Q&A

最後に、ベランダ掃除の気になる疑問にお答えいただきました。

ここでは、ベランダ掃除の気になる疑問にお答えいただきました。

Q.1 ベランダのゴミ取りについて、ほうきがないので掃除機を使ってもいいですか?

「先にもお伝えしたように、濡れたものを吸い込むと掃除機が故障する原因に。ベランダ用のほうきとちりとりはぜひ用意して欲しいです。ベランダ用としてほうきの先端の幅が細いものが販売されています。側溝のゴミをかき出しやすく、とても便利なアイテムです」

Q.2 苔やカビを除去するにはどうしたらいいですか?

「カビや苔は水やぬるま湯でふやかした後にこすり洗いをするだけで十分に落とすことができます。カビには塩素系の漂白剤を使うイメージもあると思いますが、ほとんどがトイレや風呂場用として販売されています。床材によっては変色してしまう危険性があるため、使用は控えてください」

Q.3 鳥のフンがある場合の対処法を教えてください。

「鳥のフンには菌が繁殖していることも。掃除機で吸い取ることは絶対にやめましょう。マスクとビニール手袋を着用したうえで鳥のフンにアルコールスプレーをし、ティッシュなどで取り除きましょう。汚れたティッシュは、ビニール袋に入れしっかりと結んでから捨てるようにしてください」

梅雨の時期のベランダ掃除は、近隣への迷惑にならないだけではなく、水分を多く含んだ汚れの方が乾いている汚れよりも落ちやすいというメリットもあります。水と少量の洗剤だけでも十分に汚れを落とせる掃除術を教えていただきました。ぜひこの機会にベランダ掃除してみるのはいかがでしょうか?

Profile

家事代行マッチングサービス「タスカジ 」ハウスキーパー / machamacha

家事歴38年。日々の暮らしの居心地のよい住まい作りをモットーに、依頼者のニーズを叶える的確な段取りとスピーディーな仕事で定評を得ている。タスカジハウスキーパーとして、「レタスクラブ」や「サンキュ!」などさまざまな雑誌やWEBメディアで掃除のコツを紹介している。
タスカジ HP

取材・文=癸生川美絵(Neem Tree) 撮影=鈴木謙介

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