【北九州記念】コースデータは「1番人気不振」「外枠優勢」 Hペース傾向もスピード自慢の先行型が狙い目

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人気は信頼できない難解なコース

関西圏の秋は引き続き変則日程になる。9、12月の阪神を中京と京都に振り替えるため、夏競馬も中京と小倉が入れ替わりに。サマースプリントシリーズもCBC賞と北九州記念の開催時期が入れ替わる。

開催時期が大きく変わり、しばらくは書き手にとっても混乱が続きそうで、それが収まるころには夏も終わってしまう。なんとも落ち着かない夏だが、その分、思わぬ高配当のチャンスも転がっていそうで楽しみしかない。ここでは2014年以降、夏の小倉開催(7~9月)の芝1200m、古馬3勝クラス以上の上級条件34レースのデータを確認し、コース傾向をつかんでおこう。

1番人気は【3-8-4-19】勝率8.8%、複勝率44.1%と1割も勝っていない。ハイペースからゴール前混戦が定番の小倉芝1200mらしく、ちょっとしたことが結果に大きく響く。最多勝は5番人気【6-2-3-23】勝率17.6%、複勝率32.4%で、8番人気【5-1-0-27】勝率15.2%、複勝率18.2%、10番人気以下【4-3-8-174】勝率2.1%、複勝率7.9%など伏兵台頭も。北九州記念も例年、上下の実力差がほぼない重賞だが、コースの傾向も同じ。とにかく人気が信頼できない。

3歳が【2-3-3-28】勝率5.6%、複勝率22.2%とスプリント戦のわりに頼りないのは、この時期、3勝クラス以上に所属するスプリンターがそもそも少ないことも影響している。同じことは2018年まで降級制度があった4歳にもいえ、【11-6-10-54】勝率13.6%、複勝率33.3%と出走数が少ない。だが3歳とは違い勝率が高く、ここに充実期を迎えたスプリンターがいる。5歳以上はスプリント戦らしく、年齢が上昇するにつれ確率は下がっていく。まずは4、5歳を中心に予想を組み立てよう。

ハイペースでもスピード重視のコース

今年は葵Sを勝ったピューロマジック、3着ナナオら軽量が見込める3歳牝馬が人気を背負いそうだ。データ上は厳しいものの、3歳は8月の北九州記念を21年ヨカヨカが勝ち、小倉のCBC賞を22年テイエムスパーダが勝っている。スピード任せのレースで古馬を圧倒できるだろうか。昨年覇者ジャスパークローネなど快速型がそろった。

夏の開幕週に行われることを頭に置きつつ、枠番別成績を。コース全体の傾向としては7枠【10-2-9-53】勝率13.5%、複勝率28.4%と外目の枠が目立つ。スタートからゴールまで一気に駆け抜ける1200m戦は横の動きが少ない。裏を返せば、外に出すタイミングがなく、横に動くことがロスにつながることもある。内枠はそのままインへ突っ込まざるを得ず、外枠は進路をスムーズに作れる。

外を回るロスとのバランスは7枠あたりがちょうどよさそうで、真ん中の5枠【4-8-4-44】勝率6.7%、複勝率26.7%、6枠【4-3-7-50】勝率6.3%、複勝率21.9%や大外の8枠【4-8-3-67】勝率4.9%、複勝率18.3%は好走率こそ高いが、2、3着が多い。開幕週でどれほど内優位に動くか微妙だが、真ん中から外が走りやすいコースではある。

前走距離に注目する。前走1200mだった馬が【25-24-26-267】勝率7.3%、複勝率21.9%と大半を占め、距離短縮【5-7-5-79】勝率5.2%、複勝率17.7%、距離延長【4-3-3-42】勝率7.7%、複勝率19.2%。延長と同距離の成績がいいのは、いかにもスピード重視の小倉芝1200mらしい。前走でスピード競馬を経験した馬を上位にとろう。

それは前走1200mの位置取り別成績にも表れている。逃げた馬【4-4-2-19】勝率13.8%、複勝率34.5%、先行した馬【8-7-7-69】勝率8.8%、複勝率24.2%とスピードを発揮した馬が優勢だ。展開待ちの差し馬は【9-11-10-113】勝率6.3%、複勝率21.0%と2、3着も多い。ハイペースの差し狙いに駆られるが、激流であっても、強気に攻められる先行型をあえて狙っていきたい。それが小倉芝1200mだ。

ライタープロフィール
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースエキスパートを務める。『キタサンブラック伝説 王道を駆け抜けたみんなの愛馬』(星海社新書)に寄稿。



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