歌川国芳の団扇絵に注目! 『太田記念美術館』で「国芳の団扇絵―猫と歌舞伎とチャキチャキ娘」展開催中

現代でも根強い人気を誇る浮世絵師、歌川国芳(1797~1861)の団扇絵だけを展示する、世界初のユニークな展覧会が東京都渋谷区の『太田記念美術館』で2024年7月28日(日)まで開催中(~6月25日(火)の前期、6月29日(土)~の後期で全点展示替え)。

推し活グッズのルーツ!

江戸っ子にとっても夏の必須アイテムであった団扇。当時から実用性のみならず、デザインを楽しむおしゃれアイテムでもあったという。

また、歌舞伎ファンにとっては大事な推し活グッズでもあった。団扇を作るための浮世絵である団扇絵は、当時から非常に人気が高かった。現代でもコンサートなどの推し活グッズとして団扇は欠かせないが、そのルーツがここにある。

国芳も積極的に団扇絵を手掛けていたが消耗品のため、現存数が少ないのが惜しまれる。

そんななか本展は、状態のよい団扇絵が、初展示作品約100点を含む220点を目にできる絶好の機会となる。

「諸鳥やすうりづくし」(しょちょうやすうりづくし)。後期展示。

学芸員の赤川さんは、「ユーモアあふれる猫の戯画作品をはじめ、当時も推し活に欠かせなかった役者を描いた団扇、江戸っ子の日常を彩った愛嬌のある美人画など、多彩にして保存状態の優れた団扇絵を220点紹介します。初展示作品は約100点。初めて出会う国芳作品も目白押しです」と、見どころを語る。

代表作「鏡面シリーズ 猫と遊ぶ娘」、「猫の曲まり」のみならず、役者絵や美人画、店の宣伝用に作られたものなどバラエティあふれる団扇が揃うのも注目ポイント。団扇絵を眺めることで、当時の人々の日常や娯楽などの様子が伝わってくる。

ユーモラスな戯画や武者絵のイメージが強い国芳が、団扇絵では役者絵や美人画を多く題材として選んでいる。あえて親しみやすいテーマを選び、女性たちの生き生きとした表情を描いている点にも着目したい。

「猫の曲まり」 (ねこのきょくまり)。後期展示。
「船弁慶」(ふなべんけい)。後期展示。

7月12日(金)、7月17日(水)、7月23日(火)には、学芸員によるスライドトークも行われ、より深く国芳作品の魅力に触れられる。各回11:00~約30分程度。当日11:30より受付にて整理券を配布。

「鏡面シリーズ 猫と遊ぶ娘」(きょうめんしりーず ねことあそぶむすめ)。前期展示。

開催概要

「国芳の団扇絵―猫と歌舞伎とチャキチャキ娘」展

開催日:
前期2024年6月1日(土)~25日(火)
後期2024年6月29日(土)~7月28日(日)※前後期で全点展示替え
開催時間:10:30~17:30(入館は17:00まで)
休館日:月休(7月15日は開館)、7月16日
会場:太田記念美術館(東京都渋谷区神宮前1-10-10)
アクセス:JR山手線原宿駅から徒歩5分、地下鉄千代田線・副都心線明治神宮前駅から徒歩3分
入場料:一般1000円、大高生700円、中学生以下無料

【問い合わせ先】
050-5541-8600(ハローダイヤル)
公式URL:http://www.ukiyoe-ota-muse.jp/uchiwa/

取材・文=前田真紀

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