別居中の配偶者に子どもを連れ去られたらやるべきことは!?対応手順と予防策を解説【増補改訂版 前向き離婚の教科書】

別居している配偶者に子どもを連れ去られたら

一刻も早く取り戻すこと

離婚が成立するまでの別居中の面会のときなどに、親が子どもを連れ去るという問題が起こることがあります。それは不法行為にあたるものの、連れ去った親と暮らす期間が長くなり、子どもの生活が安定していれば、取り戻すことが困難になります。子どもを取り戻すには、一刻も早く行動に移すことが重要です。

まずは「この引渡し審判」申立て

子どもを取り戻すために最初に行うべきなのは、相手の現住所をつ
きとめること。相手の現在の居場所が不明でも、相手に連絡のつく何らかの住所を特定します。

特定できたら、一刻も早く、家庭裁判所に「子の引渡し審判」と「審判前の保全処分」を申し立てます。審判前の保全処分の申立てが認められると、審判の結果が出る前に、仮処分として子どもを引き渡すよう裁判所が命じます。

審判ではなく、調停を申し立てることもできますが、子どもを連れ去るような人が話し合いに応じるとは考えにくいので、はじめから審判にしたほうがよいでしょう。

「人身保護請求」 を申し立てる

審判が出たにもかかわらず相手が応じない場合や、離婚後に親権者ではない元配偶者に子どもを連れ去られた場合は、弁護士に依頼して地方裁判所に「人身保護請求」を申し立てます。緊急性が高い場合でないと認められませんが、短期間で結果が出ます。

ポイント

  • 調停よりも審判を急いで申し立てるほうがよい。
  • 子どもの身に危険が及ぶ可能性がある場合は、警察に相談を。
  • 子どもが海外に連れ去られた場合は、ハーグ条約が適用される可能性がある。

子どもの連れ去りに注意! 対応手順と予防策

【対策1】警察に相談する

誘拐罪として連れ去った親を逮捕し、子どもを監護者に返してもらえるケースもある。

【対策2】相手の住所を調べる

市区町村役場で戸籍の附票を請求する。

【連れ去り防止の予防策】

  • 別居中の親について行ってしまわないように日ごろから子どもに言い聞かせる
  • 学校や園に事情を説明しておく
  • 子どもに GPS機能付携帯電話を持たせる
  • 近所の人やママ友・パパ友と交流する

【森元先生からのアドバイス】子どもが配偶者(元配偶者)に連れ去られた場合、離婚前である場合は「子の引渡し審判」および「子の引渡しの保全処分」を、離婚後の場合は原則として「子の引渡し審判」ではなく、「人身保護請求」を申し立てます。

【出典】『増補改訂版 前向き離婚の教科書』著:森元みのり

【書籍情報】
『増補改訂版 前向き離婚の教科書』
著:森元みのり

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