近畿大会の男女決勝を京都勢が独占!男子・東山、女子・京都精華学園が頂点に

6月21〜23日にかけて、和歌山県の和歌山ビッグホエールほかで開催された「第71回近畿高等学校バスケットボール大会」は、男子・東山、女子・京都精華学園がそれぞれ優勝を飾った。

大会2日目までを終えた時点で勝ち残ったのは、男子は東山、京都精華学園、阪南大、和歌山南陵の4校。女子は京都精華学園、京都両洋、大阪薫英女学院、大阪桐蔭という顔ぶれだった。

特に、今大会で快進撃を見せたのは地元の和歌山南陵。部員6人で、その全員が3年生という少数軍団は2回戦までを順調に勝ち進むと、準々決勝では京都府3位の洛南と対峙。序盤からU18日本代表に選ばれた洛南のエース#5 松本秦のダイナミックなトランジションゲームなどでリードを許すと、4Q中盤に入っても2桁のビハインドと苦しい状況だった。

しかし、そこで焦らずにコツコツと返していくと、逆に洛南のボールムーブが停滞。慎重になり過ぎるあまりオフェンスが重たくなり、その間にも和歌山南陵はスコアを重ねる。#5 紺野翔太が3本連続で3Pシュートを射抜き、残り4分5秒でとうとう逆転すると、最後までこのリードを守り抜き、地元の声援を受けての大逆転劇を成し遂げた(61-58)。和歌山南陵の和中裕輔コーチは洛南のOBでもある。母校に対してうれしい初勝利となった。

ゲームハイの31得点と決勝でも躍動した瀬川

東山が貫禄の大会制覇セカンドユニットが躍動!

決勝にはその和歌山南陵を100-58で圧倒した東山が、そして逆の山からは準決勝終盤で阪南大の猛追を受けながらも勝ち切った京都精華が勝ち上がり、“京都対決”が実現した。

序盤から優位に立ったのは東山。#5 瀬川琉久のドライブや#11 佐藤凪のジャンパーなどでリズムよくスコアし、1Qを23-17で終える。京都精華もハードなディフェンスから#13 新開温矢や#77 ソロモン・レイモンドらの得点で食らい付くが、じわじわと点差が拡大。東山はセカンドユニットの奮闘もあり、前半を終えて51-37の2桁差を付けた。

後半に入っても東山はペースを落とさず、とりわけセカンドユニットの#4 松島慎弥や#8 小野寺星夢らがディフェンスやリバウンドなどの泥臭いプレーから走り、多くのイージーチャンスを演出。4Qに試合が決するまでを松島、瀬川、小野寺、#12 藪元太郎、#6 カンダ・マビカ・サロモンのラインナップで戦い抜き、“新・三銃士”のうち2人(佐藤と#14 中村颯斗)を温存しながらも強度の高いプレーを継続した。最終スコアは96-73 だった。

ベンチから12得点を挙げた小野寺の働きも大きかった

大澤徹也コーチもセカンドユニットについては高評価。「インターハイでも出せる可能性はあるなと感じました。2Qの彼らの頑張りがチームに活力を与えてくれたと思います。セカンドユニットのプレーは大収穫でした。タイムシェアしながら戦いたいという部分があったので、ディフェンスでもオフェンスでもセカンドユニットがすごく頑張りました。(今年の3年生は)去年のチームを見ていることもありますし、3年生が後ろに控えているのは強みになると思うんです。だからこそ、スターのとメンバーが思い切ってプレーできて、そこに3年生がベンチから出ていってカバーする。それは僕のやりたいバスケットなので、去年に引き続きというか、セカンドユニットはインターハイでも(起用を)考えられる収穫でした」

東山にとっては優勝という結果と共に、勝負の夏に向けての好材料も手にした大会となった。一方、京都精華にとっても2月の新人戦に引き続き近畿大会決勝に勝ち上がれたことは、自信を深める良いきっかけになったはずだ。

アグレッシブに攻めた新開はチームハイの22得点

府予選と同じクロスゲームを京都精華学園が勝ち切る

男子と同じく、女子決勝も“京都対決”が実現した。準決勝で大阪桐蔭を破った京都両洋と、大阪薫英女学院に快勝した京都精華学園による決勝戦は、府予選決勝リーグの再来となる大激闘となった。

府予選では終始リードを取った京都精華に対して、京都両洋が終盤に怒涛の追い上げを見せるも及ばず。最終スコア82-80で京都精華が辛くも逃げ切り、インターハイへの切符を手にした。両者による対決は、結果的にまたも2点差の決着というシナリオを描く。

先行したのは京都両洋。準決勝中盤でスコアラーの#7 木谷夢菜を欠くアクシデントに見舞われたものの、決勝では序盤から司令塔の#9 岡田彩葉がゲームを掌握。自らの得点はもちろん、#14 ビクトリア・ウビ・オコイへの合わせや、ウィングコンビの#2 杉山心月と#69 廣浦杏のオープンスリーを演出するなどオフェンスのリズムを生み出すと、1Qを25-17で終える。

京都精華のキャプテン林は要所のプレーが光った

京都精華の下級生ユニット(左から石井、金谷、満生、石渡)

対する京都精華はスターターの調子がなかなか上がらない中、セカンドユニットの下級生たちが生き生きとしたプレーで流れを変える。残り6分34秒、7点ビハインド(23-30)の場面で京都両洋が取ったタイムアウトが明けてから、#11 石井日菜、#13 満生小珀、#15 ンガルラ・リヤ(いずれも1年)、#14 金谷悠加、#16 石渡セリーナ(共に2年)の下級生ラインナップが機能。

思い切りの良いシュートやドライブで京都両洋のディフェンスを切り崩し、守っても足を使ったアグレッシブなディフェンスで相手のリズムを乱していった。結局、このラインナップでクォーターエンドまで戦い、その間のスコアは18-6。下級生の活躍で流れを引き戻し、41-36と逆転してハームタイムを迎えた。

後半は一進一退。京都精華が決めれば京都両洋も決め返すなど、1点を争う攻防が続き、3Qを終えて京都両洋が62-58と4点のリード。岡田、杉山、廣浦を軸に着実に得点を重ねる。一方の京都精華も点は取れていたが、ゴール下やイージーショットを何本かミスしなかなか波に乗れない。それでも、4Qには#4 林咲良が4Pプレーを決めるなど要所で相手のリズムを断ち切り、#18 ユサフ・ボランレなどのスコアでリードを取る。4Q残り11.4秒でスコアは74-73と京都精華がわずか1点リード。直後のファウルゲームで#5 橋本芽依がフリースローを1本決めて75-73。

京都両洋の岡田は果敢なアタックにゲームメイクも光った

京都両洋は同点、あるいは逆転のチャンスを岡田に託す。しかし、右サイドからのドリブル突破を試みたその時、京都精華#6 桃井優が完璧にコースに入って岡田のミスを誘発。最後は京都精華が誇るエースキラーが“ディフェンスのゲームウィナー”を披露し、激闘に終止符を打ってみせた。

「3年生は京都両洋に対する苦手意識がどこかにあって、攻めてもファウルされるのではないかなど、積極的に攻められない部分がありました。1、2年生はそういうものがないので、いけいけで攻めてひっくり返してくれました。この大会では橋本がなかなか調子が上がらなかっただすが、その間に1年生が経験を積んで、決勝の大舞台でも伸び伸びプレーしてくれたと思います。今回の本来の目的である選手層を厚くするという面では成功したと思います」とは、京都精華・山本綱義コーチ。昨年度までの主軸がごっそり抜け、今年度は下級生も交えながら総力戦で全国に挑む。

連日の激闘を勝ち上がり、男女共に決勝に勝ち上がったのは4校とも京都府勢だった。さらに、前述した和歌山南陵と洛南の激闘に加え、2回戦では京都府4位の鳥羽が大阪府1位の阪南大をあと一歩のところまで追い詰めてみせた。今大会は、東山と京都精華の優勝という結果と共に、京都府の実力の高さを示すものともなった。

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