6月から始まった定額減税は、扶養家族が多いほど減税額が多くなります。
会社員で妻と子ども2人の子育て世帯なら、あわせて16万円が減税されます。
厚生労働省の調べによると、子育て世帯の平均年収は約800万円です。
全世帯の平均よりも高くなっています。
そこで、年収800万円の子育て世帯にスポットを当てて、データから家計状況を明らかにして、年収800万円の生活レベルを推察してみたいと思います。
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子育て世帯の平均世帯年収は約800万円
厚生労働省の「2022年 国民生活基礎調査の概況」によると、児童のいる世帯の平均所得金額は785万円となっています。
全世帯の平均が545万7000円なので、子育て世帯はそうでない世帯よりも世帯年収が高いといえるでしょう。
年収800万円の手取り
年収800万円の手取りはいくらになるのか計算してみます。
<条件>
年収800万円の会社員(40歳)、妻は専業主婦、子ども2人(3歳と5歳)、東京都在住
社会保険料
年収の15%とする。
- 800万円×15%=120万円
所得税
- 800万円-190万円(給与所得控除)=610万円
- 610万円-120万円(社会保険料控除)-38万円(配偶者控除)-48万円(基礎控除)=404万円(課税所得)
- 404万円×20%(税率)-42万7500円(控除額)=38万500円
住民税
- 所得割額:41万1500円
- 均等割額:5000円
- 合計:41万6500円
手取りの計算
- 800万円-38万500円(所得税)-41万6500円(住民税)-120万円(社会保険料)=600万3000円
年収800万円の上記の家族の場合、手取りは600万3000円となりました。
月額にすると約50万円となります。
年収800万円の子育て世帯の家計収支
年収800万円の子育て世帯の家計収支を確認してみましょう。
総務省「家計調査 家計収支編 2023年」から、4人世帯(勤労者世帯)の年間収入750~800万円の消費支出を参考にします。
<年収800万円・4人世帯の生活費>
家計調査の場合、持家率が高いことから、住居費の平均が低くなっています。
子育て世代は、賃貸物件に住んだり、住宅ローンを組んで家を買ったりするケースが想定できるので、住居費は別のデータを参考にしたいと思います。
不動産情報サイト「LIFULL HOME'S PRESS調べ(2024年5月掲載)」によると、首都圏のファミリー向き賃貸の掲載物件の平均賃料は約13万円となっています。
これを参考に、住居費を13万円とすると、消費支出は約43万円となります。
先述した手取り額50万円に、子ども2人分の児童手当2万円を加えた収入52万円から生活費43万円を引くと9万円が残りました。
ここでの生活費は、日常生活に必要な出費であり、突発的な出費は含みません。
また、貯畜や保険の積立、iDeCoやNISAなど、将来に備えるための支出も含みません。
こうした突発的な支出や将来の備えを9万円から捻出すると、ほとんど残らないのではないでしょうか。
また、子どもが大きくなるにつれて、教育費の負担は増えていきます。
教育費にはいったいどれほどの金額が必要になるのでしょうか。次章で試算しています。
教育費は子ども1人1000万円
年収800万円の子育て世帯の家計収支では、教育費が1万6442円となっていますが、子どもが大きくなるにつれて、教育費の負担は増えていくでしょう。
児童手当を0歳から高校卒業(※)まで積み立てると、約234万円になります。
これに対し、教育費は1人1000万円かかると言われています。
児童手当をすべて教育費に充てたとしても、さらに700万円~800万円を用意しなければなりません。
子どもが2人いたら2倍になります。
※2024年10月から高校生まで延長
前項で試算した残額9万円は児童手当分が含まれているので、実際は7万円となります。
この7万円を積み立てて、子ども2人分の教育費を捻出すると仮定すると、10年で840万円、15年で1260万円になります(利息は考慮しない)。
家計収支で余ったお金を全額教育資金に充てても、子どもが2人いる場合は足りない可能性が高くなります。
この上、老後資金も備えておかなくてはならないことを考えると、年収800万円の子育て世帯の家計状況は厳しいと言わざるを得ないでしょう。
参考資料
- 厚生労働省「2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況 Ⅱ各種世帯の所得等の状況」
- 総務省「家計調査 家計収支編 2023年 二人以上の世帯 表番号2-7」
- 住まいの本当と今を伝える情報サイト【LIFULL HOME’S PRESS】「【2024年4月 賃貸 首都圏版】LIFULL HOME’Sマーケットレポート」
- こども家庭庁「児童手当制度のご案内」
- 内閣官房「こども未来戦略方針の具体化に向けた検討について」