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救急車の出動増などから「適正利用」が全国的に呼びかけられる中、広島県庄原市東城町の東城消防署は、救急車の積極的な利用を促すチラシを作った。1人暮らしなどの高齢者が通報を自粛し、治療が遅れるケースが目立つため。若手の救急救命士が社会福祉協議会などと協力して啓発活動に乗り出した。
A4判チラシのタイトルは「もしもコール東城」。危険な症状について、体の部位ごとに「突然背中が激しく痛み出した」「しゃべり方がいつもと違う」などと説明。症状が出た場合の速やかな通報を呼びかける。
同署によると、2023年の急病による救急出動は285件。うち3割余は1、2日前から症状があり、治療の遅れから重篤化するケースもあった。同署は「救急車の不適切な利用だと思って我慢したり、周囲に心配をかけるとためらったりする人がいる」とみる。
中山間地域の同署管内での患者搬送ルートは主に、庄原赤十字病院(同市西本町)や市立三次中央病院(同県三次市)へ中国自動車道経由となる。このため地域によっては病院到着までに40分以上かかるケースもあるという。こうした課題を感じた救急救命士名越光希さん(23)たちが「119番と救急車の積極利用」のチラシ作りを提案した。
同署の前田拓哉署長は「全国的に救急車の搬送件数が増えているが、東城は違う。取り返しのつかない事態になる前に、遠慮せず通報してほしい」と強調する。