成長著しい「東南アジア経済」に貢献した500社…「フィリピン」からは38社がランクイン!

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一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティングのエグゼクティブディレクターの家村均氏が、フィリピンの現況を解説するフィリピンレポート。フォーチュン誌が新設した「Fortune Southeast Asia 500社」に選ばれた東南アジアの企業をみていくとともに、フィリピンの主要産業であるIT-BPM業界の最新動向について注目していきます。

成長著しい東南アジアに注目!フォーチュン誌による新格付け

フォーチュン誌は東南アジアの経済に貢献した企業500社をランキングする「Fortune Southeast Asia 500」を発表し、フィリピンからは38社がランクイン。サンミゲル(9位)、SM Investments Corp. (27位)、マニラ電力(34位)などが入りました。ランキングは2023年12月31日までの各社の最終業績の総収入に基づいています。

他の国についてみていくと、インドネシアが110社で最多、タイが107社、マレーシアが89社、シンガポールが84社、ベトナムが70社、カンボジアが2社でした。

このリストの創設は、東南アジアがダイナミックで急速に変化している地域であることを示しており、ASEAN主要国の経済成長率は日欧米よりもはるかに高くなっています。これは、多くのフォーチュングローバル500社がサプライチェーンを東南アジアに移転させていることが一因です。

首位はシンガポールに拠点を置く商品トレーダーのトラフィギュラで、売上高は2,440億ドル。2位はタイの石油・ガス会社PTT、3位はインドネシアの石油・ガス会社プルタミナ、4位はシンガポールの農業会社ウィルマー・インターナショナル、5位はシンガポールの農業関連企業オラム・グループが続きました。

トップ10は主に石油・ガス会社と農産物企業で構成されています。また、ASEAN諸国と比較してフィリピンの順位が低いのは、中小企業が活発であることを示しているとの指摘があります。

インドと共に選ばれるフィリピンの「IT-BPM」

フィリピンはIT-BPM業界の世界的な中心地であり、グローバル顧客がオフショアリング先を決める際、常にインドとフィリピンは有力候補に挙げられます。オフショアリングとアウトソーシングはコスト最適化の有力な方法であり、フィリピンやインドを活用することは、グローバル企業や北米企業にとってコスト最適化の方法となっています。

そのようなフィリピンのITビジネスプロセス(IT-BPM)業界は、2024年末までに7%の売上と従業員数の伸びを見込んでいます。しかし7%の成長率を達成することは、業界が「ベースラインシナリオ」を達成するだけであり、IT-BPM産業ロードマップ2028で設定された積極的な目標には達しません。

IT-BPM業界は、2023年末時点で直接雇用者数が170万人、輸出収入が355億ドルでした。ロードマップによると、2024年には従業員数が184万人、売上が400億ドルに達すると予測されています。7%の成長予測が達成された場合、同業界は2024年末までに従業員数182万人、売上約380億ドルになります。ロードマップでは、2028年までに250万人の雇用創出と590億ドルの売上を目指しています。

業界が成長目標の達成に楽観的なのは、フィリピン人IT-BPM人材に対する需要が依然として強く、また、グローバル企業のコスト最適化の動きの加速もアウトソーシングの需要を後押ししているからです。

フィリピン中央銀行は、サービス輸出額が2024年と2025年にそれぞれ551億ドルと60億ドルに達すると予測しており、ビジネスプロセスアウトソーシングの収入は2024年と 2025年に年間7%ずつ成長すると予測しています。

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